貴方はこの世界が好きですか?
ビターラビット
あなたを救いたい
※作者からのお願い
話の途中に出てくる○○には、あなたの身近な人の名前を入れてください。
ピピピッ…ピピピッ…
朝、携帯のアラームの音で目覚める。いつもと同じ朝。しかし、今日という一日はいつもと違う
3月15日(昨日)
いつもと同じく学校に行き、帰りに腰を痛めて入院した祖父のところに寄った。祖父は私が来てくれるだけで、早く良くなりそうだと喜んでくれる。私もそんな優しくて明るい祖父のことが大好きだから、早く治ってほしいから、毎日通う。そんなここ最近の毎日の日課を終えて帰る途中、私はある少女に会った。彼女は自分のことを死神だと言った。そして、私が明日の帰りに交通事故で死ぬと言った。彼女は私に、残りの一日をこの世との別れのために使う様にと言って、帰りぎわに言った。
「貴方は、この世界が好きですか?」
そして、消えていなくなってしまった。私はあまりに突然のことで戸惑ってしまい、最初は誰かが自分をからかっているんだと言い聞かせて信じなかった。でも、もし本当だとしたら…。
私は後悔したくなかった。だから、友達と家族に遺書を残した。こんなの発見したらたら自殺したように思うかもしれない。でも、それでも良いと思い遺書を書いて寝た。
3月16日(今日)
私はいつものように目覚め、いつものように身支度して学校に行った。最後の学校は今までで、一番あっという間に過ぎ去ってしまった。そんな寂しい帰り道、祖父のところに行って、精一杯最後のお祖父ちゃん孝行をした。私達は看護師さんに
「面会時間終わりです。」
と声をかけてもらうまで話した。
そしてその帰り道、私は信号無視してきた車にはねられて死んだ。
目覚めると、そこは真っ白い世界だった。そこには天まで高く伸びた階段とあの少女がいた。 私は彼女に問った。
「ねぇ、ここは天国なの?」
「いいえ、ここは天国の手前、私たち死神が質問をするための間」
「質問って何を聞くの?」
「貴方は、この世界が好き?」
「他には?」
「それだけ」
「えっ、それだけの間!」
「そう。たまに犯罪者とかには罪の確認もするけど、基本はそれだけ」
「なんでするの?」
「それが私達の仕事、それが私達の罪滅し」
「罪滅し?貴方達は何かに縛られてるの?」
「私達も昔は、貴方達の世界に生きていた。でも、私たちは自殺して生きる使命から逃げた。この世界では自殺は最大の罪なの。だから私達は天国に行くために働く」
「可哀想…」
「いいの、これが私達のしたことの結果だから。さあ、質問に答えて」
「私はこの世界が嫌いだな…。貴方達が救いをもらえない世界なんて…。私は貴方たちを救いたい」
「その気持ちだけで私達は嬉しい。でも、その答えは嘘だって私は知っている。私はあなたは本当はこの世界が大好きだって…」
「…うん、そう、嘘ついた。私は本当はこの世界が大好きだよ…大好きな祖父や家族、友達の○○ちゃん、皆が居たから……それにあなたもいたから…。」
「えっ⁉なんであなたはそこまで私のことを気にかけるのですか?私と貴方は、昨日会ったばかりなのに…」
「それは…貴方が急にいなくなっちゃった親友、幼馴染に似てるから!」
「!」
「ねぇ、貴方、○○ちゃんだよね。幼稚園の頃、いつも一緒にいた○○ちゃんだよね!」
「私は…私は○○さんじゃない!彼女はもう…」
「じゃあ、私にあなたの名前を教えて!私は貴方と友達になりたい!」
「私達に名など無い…。だから…、だから早く天国に行ってよ○○ちゃん!」
死神は涙を流しながらそういった。私はそんな彼女をそっと抱きしめた。彼女は嘔吐しながら子供のように私の腕の中で泣きじゃくった。
その後、私は神様と交渉することになった。神は私の説得に圧倒されて、○○ちゃんを死神の業から解放してくれた。そして、私達は天国への階段を登って行く、登って行く程に現世での思い出は消えていく、でも二人は信じている。来世もまた一緒になれると…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます