第8話 運命

ゴブリンのムラナガさんが、私やサキと一緒の異世界からの訪問者?

わけがわからない

だって、ゴブリンなんて私達が住んでいた街には.......

いや、世界にだっていなかったはず.......

唯一、存在しているのだとしたらゲームやおとぎ話の世界だったはず


女だけど、あまり絵本とかには興味が無く

おとぎ話とは無縁の私でさえも知ってる怪物だ


そんな怪物が私と同じ人間だったなんて衝撃的だった

その後も、その話が本当に本当なのか?を何度も問い詰めたけど

ムラナガさんの話は嘘偽りがないものだと私は感じた


「分かりました・・・ムラナガさんの話を信じます」

「おお、そうカそうカ

 きっと嬢ちゃんは賢い選択をしそうだナ!」

「賢い選択?」

「あぁ、さっきも話したが俺たちは何度か嬢チャン達以外の同胞

 ツマリはここじゃない異世界からの訪問者を保護する事があるンだ

 そいつラの大半は選択を間違えて失敗していったからな・・・」

「失敗!!?

 それはどういう意味なんですか?」

「ハハッ!まぁ気になるよナ

 この世界で異世界からの訪問者っテ呼ばれるヤツラの運命を話してやル」


そう言うとムラナガさんは机の上にこの世界の地図を広げて説明を始めた


ムラナガさん曰く、異世界からの来訪者はこの世界の決まった場所に現れるのではないらしい

だから気性の激しいモンスターなどに襲われて死んでしまうらしい

それが異世界からの来訪者の運命その1


幸い私たちがいるエリアはいろんな種族やモンスターが存在するが

騎士団の統治下であるため、凶悪なモンスターはいないらしい


そして運命その2は驚くべき話だった

異世界からの来訪者はこの世界に来た事に特殊な力に目覚めるらしい・・・

私がここに来る前に、ゴブリン達と戦った時に放った技?がその片鱗らしい


「あれ?ムラナガさんは私たちと同じ、異世界からの来訪者ですよね?

 そうなると、ムラナガさんも力に目覚めた・・・って事は・・・」

「おォ!気が付いたかァ、オレは察しが良いヤツは嫌いじゃねぇぜ

 そうだ、運命その2

 目覚める力の半分はモンスター化ってヤツだ

 身体の一部ダケの場合もあれば全身モンスター化するヤツもいる

 しかも厄介なことに人間だった記憶そのままだからナ・・・

 現実を受け止められなくて暴走するヤツ、モンスターとしてイキル事に馴染めずにシンデいくヤツ

 モンスター化したヤツラの結末は大抵そういう感じダな」

「なにそれ・・・・

 勝手にこんな世界に連れてこられて、そんな結末・・・・

 教室に残ってるみんなはどうなってるんだろう・・・」

「さぁな・・・嬢ちゃんが力を使えルようになってキタッテことは

 他のヤツらも力が発動し始めてるか、モンスター化しているだろうナ

 それに嬢ちゃん達の出現に気が付いたのは、オレたちだけじゃねぇはずだ

 きっといま戻ったら大変な事に巻き込まれるゾ

 一応、ソコで寝ている嬢ちゃんの話を聞いて、すぐに偵察&救助隊をだしてるんダけどナ」

「そんな・・・」


私の心配をよそに、サキは私の膝の上で眠っている

道中での疲れとムラナガさんと私の話が長くなってしまったからだろう

そんな無邪気なサキの寝顔を見ていたら、色々な悩みが吹き飛んでゆく


私は膝枕で安眠をしているサキの頭を撫でながら決心をする


「ムラナガさん!お願いがあります!!」

「おォォン?なんだい嬢ちゃん?言ってみナ」

「私はみんなを助けたい!

 私達をさっきの馬車で教室に送ってほしいです!!」

「ナンだなんダ、急に騒ぐと思ったらそういう話か

 さっきも言ったガ、いま行くと危険ダゾ、ココにいるのガ一番安全だが

 本当にイくんだな?」

「もちろんです!みんなが危険だからこそ行かなくちゃいけないんです!」

「オウオウ、熱いじゃねえか嬢ちゃん

 運命その3

 この世界では危険な場所に自ら行く熱いヤツはシヌ

 まぁ当たり前の事ダケドな」

「それでも・・・それでも友達を守りたいんです!!!!

 ムラナガさん、助けてください!!!」

「オウオウ、嬢ちゃんはほんとアツいじゃねえか

 俺はそういう熱いヤツが好きダゼ

 俺タチが知恵も力も与えてヤル、一緒に運命を変えにイコウぜ」

「ありがとうございます!!」

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