"女番長"エリカと仲間達の異世界救済

田中真矢

一章~はじまりの草原~

第1話 はじまりの場所


「ばんちょー、ここどこかな?」

と、一緒に学校に登校をしていたサキが番長と言う嫌なあだ名がついた私に問いかける。


「番長言うなっ!ここがどこだって?

そんなの私にだって、分からないよ・・・」


私はいつもの返しをしつつ、私にも今の状況が理解出来ていない事を告げる

分かるのは馬車?らしき物に乗りながら、どこかへ向かっている事

そんな私たちは、夕焼けに染まる草原を眺めるしかなかった。


いったい全体、何が起こったのか?

寝起きのような感じで、記憶が少し曖昧だ

確か、私たちはさっきまで登校していたはず・・・?


そうだ、私とサキは登校途中だったんだ

いつも通りの時間に家を出て

いつも通りの場所でサキを待ち

いつも通り、サキが遅れて来た

本当に、いつもと何にも変わらない

いつも通りの通学路を歩き、入学したての高校へ向かって

いつも通り、ホームルーム前の教室に到着

ギリギリに登校する生徒が多いうちらのクラスは、いつも通り疎らに人がいるだけだった

そんな、いつも通りの中で唯一いつも通りじゃない事があったはず・・・


そうだ、あれだ・・・

だんだんと記憶が戻ってきた・・・


教室に到着した、私達はクラスメイト達に朝の挨拶を済ませ自分達の席につく


名字が近い幼馴染のサキとは、前と後ろの関係でこの時間はよく二人で話をしている。

今日も、通学路で話をしていた昨日のドラマの結末についての議論を再開しようとしていた

そんな時だった・・・


ドド、ドドドドドド


地震だ!っと誰かが叫んだ

そんなの誰だって分かってるよっと心の中で思いながらも

地震が起きた時の避難訓練で習った通り、机の下に隠れた


ドンドンドンドンドン


揺れがどんどん強くなっていく

突如訪れるガッシャーンと大きな音

それと同じぐらい大きなクラスメイト達の悲鳴

このまま死ぬのかな?

私はそう感じながら、机の脚を必死に押さえながら揺れに耐えていた

そんな時だった


突如、教室内をピカーッと白く強い光が包み込む

一瞬の出来事でクラスメイト達は驚きの叫びを発するが

同時にさっきまでの揺れが落ち着いた事に気が付き

みんな光の事など、どうでもよくなっていた

ある子は安堵し、安心感から泣き出し

また、ある子は余震への恐怖に怯え

また、ある子は冷静にクラスメイトへ避難を促していた


「ばんちょー、怖かったよー」


私は目の前で地震に必死に耐えていたサキは

今にも泣きそうな顔でそう言っていた

私はそんなサキを安心させようと抱きしめると


「ありがとう、ばんちょー

ばんちょーも怖かったんだね・・・」


サキに言われるまで気が付かなかったが

私自身の体も震えていた

そんな私の体をサキはヨシヨシと撫でて

落ち着かせようとしてくれた


抱き合って、お互いが落ち着いてきた頃

先程から、状況確認を行っている生徒の一人が

私達に声をかけてきた


「二人とも大丈夫?怪我はない?」

「私とサキはなんとかね!委員長こそ大丈夫?」

「私もなんとかね!一時はどうなるかと思ったけど、みんな怪我もなく無事みたい」

「それは良かった!じゃあ次は、避難訓練の時みたいに校庭に避難しないとね」

「そうね・・・外には出れるのだけど・・・」

「どういう意味?」


私の質問に答える代わりに

委員長は教室の後方にある扉を指さした

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