隊員達、立ち塞がる


 159-①


 今まさに、ソウザン城に斬り込まんとしていた武光の前にフリードと三人娘が立ち塞がった。

 走って来たのか、四人共、少し息が乱れている。


「お、お前ら……」

「はぁ……はぁ……どこに行こうって言うんだよアニキ……!!」

「隊長……ひどいですよ!!」

「隊長殿……アルジェから聞きました……」

「さ、作戦決行は今からって本当なんですか!?」


 四人の厳しい視線を受けて、武光は大きな溜め息を一つ吐いた。


「ったく……アルジェめ……余計な事を」


 それを聞いたフリードがブチ切れた。


「余計な事……? 余計な事ってどういう事だよ!!」

「……ここから先は俺一人で行く。お前達は街で待機や」

「隊長……どうしてなんですか!?」

「納得出来ません隊長殿!!」

「そ、そうです。せめて納得のいく説明を──」



「やかましいッッッッッ!!」



 武光はフリード達を一喝いっかつして黙らせた。


「ゴチャゴチャ抜かすなッッッ!! お前ら全員、街で待機してろっ!!」


 その言葉に納得出来るはずもないフリードが即座に抗議する。


「どうしてだよアニキ……シューゼン・ウインゴで一緒に入浴中の姐さんをのぞこうとした時に……『我ら、生まれた時は違えど死ぬ時は同年同月同日に死なんッッッ!!』って素っ裸で誓い合ったじゃないか!?」

「隊長……フー君……」

「何をやってるんだ……」

「ふ、二人とも……バカ丸出しじゃないですか」


 呆れる三人娘だったが、激しく興奮しているフリードはお構い無しに武光に詰め寄った。


「何とか言えよ……オイコラ!!」

「…………隊長命令や、ついて来るな!!」


 武光の命令に、フリードは肩を震わせ、血が出んばかりに、拳を強く握り締めた。


「ああ、そうかよ!! じゃあ……今から俺が天照武刃団の隊長だコノヤロー!!」

「はあ!?」

「俺がアニキをブチのめして隊長の座を奪う!! そして『全員でソウザン城に乗り込む』って隊長命令を下す!!」


 フリードの隊長の座を奪う宣言に武光は慌てた。


「なっ……お前何を勝手な──」

「うるせーーー!! 下克上は悪役の華じゃーーー!! 行くぞ皆!!」

「うんっ!! 行きますよ、隊長!!」

「全力で参ります、隊長殿!!」

「う、受け止めて下さい!! 私達の覚悟を!!」


 フリード達は各々の武器を構えると、武光に突撃した。


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