第16話 女子高校生 快楽に飲まれる



 食事が終わると私と大神は部屋に戻った。



 外では酒が入った若い男女がどんちゃん騒ぎをしており、楽器の音が部屋の中にいる私達にも聞こえてきた。



 そんなムードもへったくれもない眠らない街で私は――ベットに座って服を一枚一枚脱いでいた。



「……………………ううぅ」



 恥ずかしくて死にそうになっている私とは対照的に、満足げな表情で腕を組む大神。



 部屋の中は謎の光を放つクリスタルのおかげで無駄に明るい。せめて大神の姿が見えなくなるぐらいに暗かったらまだマシだったけど、大神がそれを許す筈がない。



 私は――ゆっくりとした動作でカッターシャツをボタンを外す。盗賊に乱暴されたせいでボタンが半分しかない。



 カッターシャツの下は、当然ながらブラジャーのみである。……視線を感じる。凄く感じる。ヤバイ。今すぐ窓から飛び出したい衝動をぐっと堪える。



 大神には私の裸を見られた上に痴漢されまくったけど、勝手に脱がされのと自分から脱ぐのでは何もかも違う。ってかもうこれ痴漢じゃないじゃん!



「…………ホントにしなきゃ、ダメ?」



 涙声で私は大神に懇願する。体で支払うと言いつつ拒否しようとするのは何とも虫の良い話だと自覚しているけど、もうとにかくなりふり構ってられない程恥ずかしいのだ。



「……ふむ。仕方がない。その泣きそうな顔に免じて、条件をやろう。それを満たせば」



「ほ、ほんとっ!?」



「ああ。俺はエロ関係ならば嘘はつかない」



「なによそのポリシー……」



 なんだかよく分からないけど助かった。条件によるけど、ただ漠然と痴漢を受けるよりかは幾分マシである。



「……ふむ。そうだな」



 痴漢王は私を見て――にっこりと微笑んだ。




「とりあえず十五分俺の攻めに耐えられたら解放してやる」














 * * * * *











「ひゃああああああんんんんッ!? もう無理ッ!? ほんと無理だってば! 無理無理無理無理ッ!? ひゃあ、ぐっ! し、死ぬッ! 死ぬ死ぬ死ぬしッ! イキ死ぬってば! やだぁぁぁぁぁああッ!?」



「まだ五分しか経っていないぞ」



「いやぁぁあああああああッ!?」



 大神がこの世界に来る前に所持していたと思われる時計を見ながら言う。まだ十分しか経ってないって嘘でしょ!? もう一時間は責められている気すらするんですけどッ!?



「――――――いぎッ!?」



 大神は私の腹部を優しく揉む。たったそれだけなのに、背筋に電撃が駆け巡る。視界がチカチカして、我慢しているのに自然と声が漏れてしまう。



 全身は汗でびっしょりで、全身は信じられない程過敏になっていた。まるで自分の体じゃないようだ。今の私なら、どこに触れられても果ててしまう気がする。



 ――何が恐ろしいって、私はまだ自分が一番敏感な部分に触れられていないのだ。胸は執拗までに揉まれたが、女性の大事ば箇所はまだきちんとパンツが守っていた。



「――――くぅううぅっ!?」



 大神に胸のアレを優しくつねられて、意識がトンでいきそうになる。脳内で快楽物質が作られているのが分かる。顔は涙と涎でぐしゃぐしゃになっていると思われるが、それを拭う余裕など彼は一秒たりとも与えてはくれなかった。



 ……あり得ない。あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないって!



 なんでなんでなんでなんでこんな気持ちいいのッ!!



 以前にもこんな風に痴漢されたけど、それの数倍はトブ回数が多い。彼が触れられるたびにイっているとも言っていいい。気持ちよすぎて怖い。ずっとイって戻ってこれないかと不安に思ってしまうほどに気持ちよさが決壊したダムのごとく押し寄せ来る。



「助すけてッ!? もう無理だからっ! 気持ちよくて死ぬからっ!? ダメ、あ、ああ、あっ!? ダメだってばぁ――ッ!?」



「もう少し我慢しろ」



「無理無理無理っ!? 我慢? 出来ないできゃないからっ!? や、ダメ。辛いって怖いいああ、ああ、またイク――ッ!?」



 彼に触れられると、嘘みたいに気持ちよくなる。なんで? 分かんないけど、これだけは分かる。



「これいじょうは――――癖になる――――ッ!!」



 ビクビクビクビクビクビクビクッ!!




 私は腰を大きく浮かし盛大にイッたと同時に、視界が真っ白になった。








 * * * * *







「………………うぅ?」



 どうやら私はしばらくの間、気を失っていたらしい。



 目を覚ますと、私の体は布団を被せられている事に気づいた。きっと大神が被せたのだろう。



「………………うぅ」



 まだ快楽のせいで自由に動かない体に無理を言わせて、私は起き上がる。外を見るとまだ夜だった。どうやら気を失っていたのはそれほど長い時間ではないらしい。



「盛大にイッたな」



 椅子に座って街で買ったであろう本を読んでいた大神が、私の顔を見てニヤリと笑った。



「い、イってないし!」



「では、もう少し痴漢してやろうか?」



「か、勘弁してくださいっ!」



 今更ながら彼との行為を思い出して……体がかぁっと熱くなる。ああもう穴があったら入りたい。ってその穴じゃないからっ! ――何自分に弁解してるの私っ!?



「も、もう借りは返したからっ! これからは金輪際私に痴漢は禁止っ! 分かった? 私に触れたら即アンタを真っ二つにしてやるから!」



「それでいいのか? もう気持ちよくさせてやれないぞ?」


「だから気持ちよくなってないからッ!!」



 私の必死の弁解に、大神はくっくっくと肩を上下に揺らして楽しげに笑う。……むぅ。笑った顔は可愛いだけどなぁ。痴漢魔なせいでマイナス百点だ。



「仕方がないから我慢してやる。強情な女が快楽に堕ちるのを見るのも一興だ」



「……アンタ、本当に良い性格してるわね」



「当然だ。痴漢王だからな」



「あーはいはい」



 ……うーん……。今更だけど、コイツと一緒に行動するのは間違っていたかもしれないなぁ……。



「――では、改めて仲間になった事を祝って、握手でもしよう」



「………………キモ」



 大神は立ち上がって手を伸ばすので、仕方が無く私はフラフラな足取りで彼の手を握った。



 何百人の女を痴漢した彼の手は、カイロのように温かくとても筋肉質だった。当たり前だけど、女の私と全然違うんだなぁって思った。



「……それ、快楽のツボ」



「――ひゃああああああッ!! だから止めろって馬鹿っ!」



 大神が私の手の甲を優しく押すと、また快感が全身に駆け巡った。急いで振り払い、手をブンブンと降って気持ちよさを振り払う。足にも快楽が来たのか、今にも崩れそうなほど震えていた。



「…………ムカつく」



 大神の楽しげな顔を見て私は呟く。なんだか手の内で転がされているような感じがして、どうも面白くない。



 一発蹴りでも入れてやろうか――と思った刹那、



 テテロテロテロリンッ♪



 そんな間抜けな音が部屋の中で鳴った。何事かと驚いていると、次に女性の声が聞こえてきた。




『おめでとうございますっ♪ 『痴漢魔導士』はレベルアップしましたっ♪』















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