僕と彼女
ふぅー
第1話 僕の話を聞いてくれないか
「居場所がほしい」そう感じながら生活をしている。心の中は息苦しさでいっぱいだ。この気持ちをどうすることもできないから、せめて話を聞いてくれる人が欲しかった。僕は用事を済ませ、家に帰る道の途中、公園があったので自販機でコーヒーを買い、ベンチで休憩することにした。夕方なので子供たちがもう帰る準備を始めている。夕食の準備であろうか、カレーの匂いがどこからかの家から漂ってきた。子供たちは「また明日!」と楽しそうに家に帰る。僕はもどかしさを感じながら、コーヒーを一口、口に含みゆっくりと飲み込んだ。静けさを取り戻した公園では、虫の鳴き声が聞こえ始めた。早く帰りたい気持ちがあるがどうも気が重く、立ち上がる事に抵抗を感じる。「どうしたらいいんだろう」とぼそっと口にした。
ベンチに座ったまま、物思いに耽り始めたころ、女性が隣に座り、僕と同じくコーヒーを飲み始めた。何か少し気まずいので、携帯を少し見たふりをして席を立ち、帰ろうとした。その時、「話をきいてほしいの」と彼女は僕の袖を掴んで言った。怖いと思ったがとりあえず「ぼくですか?」と聞き直した。「いきなりごめんなさい。でも今誰かと話をしたいと思って」と彼女はいった。「僕も暇なんでお話をしますか。」と答え、ベンチに座り直した。
少し時間が経ち、彼女の感じたことをそのまま言う性格が伝染したのであろうか、僕も彼女に対しての警戒がほどけ、別になんと思われてもいいからと気持ちになり、思いつくまま彼女にいろんな感情を吐き出した。僕は「君と話していると心が落ち着くよ。そうだな、またここで会わないか。そして僕の話を聞いてくれないか」と彼女に言った。彼女は「私もそう言おうと思っていた」と答えてくれた。会う約束をして僕と彼女は別々に公園を後にした。
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