第2話 出会い
書きかけの小説の文字が1文字ずつ消えていくように私の記憶も消えてしまえばいい
過去に犯した罪を償わなければ
私の手は罪人の手だ
この手を生かす限り多くの人が傷ついてしまう
傷つけたくない、嫌だ嫌だ
謝りたい、謝って許されるのであれば
喉が潰れても、脳みそが破裂しても私は
永遠と地面に這いつくばり謝罪の言葉を言い続けるであろう
それほど、私の犯した罪の底は深いのであった
生きろ
鋭く、透き通った言葉の核が
私の心に突き刺さり
私をこの世界に留まらせた
〜ランジ国到着後、セントラルホームにて…〜
「あれっ?みんなは?」
思わず、彼女は呟いた。周りを見渡し
ようやく、自分の置かれた状況を理解したようだ。
先程まで、一緒に行動を共にしていた自国の隊員達の姿は人混みの中に吸い込まれるように消えていた。
完璧なる迷子
「はぁ」
深いため息と供に長旅の疲労がズシリと
音を立てその小さな身体にのしかかる
「とにかく、みんなを探さなきゃ」
自らの心を奮い立たせ、
鉛のような重たい足を動かし、必死に人混みを掻き分け前に進む。
何だか、息がつまる
久しぶりのこの感覚
人が多く集まる場所ほど、人々が放つ想い(雑念)のパワーは多い
耳から、目から、肌から毒のような得体の知れない何かが身体の中に侵入してくるのを感じる。
この空間にいることじたいに
身体全身が拒絶反応を起こしている。
苦しい
「早くっ早くはやく」
心の声が溢れ出す。
必死に人混みを掻き分け、全速力で出口へと向かう
まだ、残暑が残る強い日差しが目に差し込む
安堵した瞬間
足が、からまりバランスを崩した
目の前の景色が徐々に漆黒に染まっていく
すると急に
後ろから腕を強く引かれ、なんとかその場に踏み止まった。
身体から冷や汗がじんわりと滲んでいくのが分かる。
「大丈夫?」色のない声が降りかかる
こちらを覗き込むブルーの瞳
空の青より、海の青より
濃く、透き通った瞳
意識が遠のいていく
少年は、慌てて少女の身体を支える。
その頃
少女(ルア)と共にこの国を訪れていた一行は
ようやく、気づいた。
「そういえば・・・ルアいないですよね?」
紫がかった髪、歳は10代半ばくらいかやや大人びた雰囲気を醸し出す少年トモが前を歩く2人に声をかける。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ、!?」
道行く人が振り返る程大声で
2人同時に顔を見合わせる。
「やられた。
全くあいつは、こんな場所で何やってんだ(怒)だから、あれほど耳にタコが出来るほど言ったが」
その容姿からは、誰も想像がつかない程の暴言をその後もぶつぶつと呪いの言葉のように唱えている。この青年は、ルアが所属する戦闘部隊の隊長、長い黒髪を一つに束ねまるでモデルのような容姿の美しい青年サナトである。
「まあ、まあ落ち着つけ。いつものことだろう笑」
鍛えらた身体に、たくましい顔立ち彼もまた戦闘部隊の一員サナトと同年代であるリクが声をかける。
「隊長、どうなされますか?」
恐る恐るトモがサナトに尋ねる。
「お前ら、宿泊先のホテルに先に行っててくれるか?俺は、ルアを探してから向かう。」
「1人で大丈夫かい?」
心配そうなリク
「大丈夫。先に、チェックインしてホテルで旅の疲れを癒しておいてくれ。明日から、忙しくなるからな。」と、言いサナトは、来た道を引き返す。
「ありがとうございます。」
「ありがとう!ルア早くみつけろよ!」
2人は、サナトな後ろ姿を見送った。
「1人で大丈夫ですかね?やっぱり、俺一緒に探しに行きますよ!」
「サナトなら、大丈夫だ。あいつは、ルアの母親みたいだからな。」
「そうなのですか!?」
「これ以上、言ったらあいつに怒られるから。ここまでな!いくぞ!」
そう言うと、スタスタと歩き出したリクの後ろを慌てて追いかけるトモ。
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