LIFE NAME

YUKA

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登場人物  ひかり (18)

                    みらい (18)

                    お母さん (44)

                    あかり (8)

                    そら (18)

                    つなぐ(6)

                    つなぐ母(28)   

                    


1年前



お母さん 「ひかり!!いい加減にしなさい。遅刻するわよ。」

ひかり 「ちょっと待って。もう、少しだけ書かせて。」

あかり 「おねえちゃん!早く。先に行っちゃうよ。」

お母さん 「ひかり~~~~」

あかり 「行ってきまーす。」



ひかりは、必死にペンを動かす。

その時、事故は起こった。妹のあかりは、道へ飛び出しトラックと・・・


鳴り響くサイレンの音。事故現場に立ち尽くすひかり。


お母さん「あかり、あかり!!!!!」

必死にあかりの名前を呼ぶお母さん


ひかり「うそ、嘘・・・こんな・・

    いやーーー!!!!」





ひかり「私のせいだ。あの時、あかりの傍にいたらこんなことにはならなかった。」



彼女の中で、長い長い雨が降り始める。


 もう一つの世界

みらい「・・・・雨だ。」


一年後



お母さん 「ひかり。朝よ。」

ひかり「 うん。」

お母さん 「今日は、朝から補講なんでしょ??急ぎなさい。」

ひかり 「うん。」

お母さん「お弁当持った?」

ひかり「うん。行ってきます。」

お母さん「ひかり明日は・・・・」

ひかり「何?」

お母さん「いや、何でもない。行ってらっしゃい。」


ひかり眠たい目をこすりながら学校へと向かう

        



学校。教室内。


そら 「ひかり。おはよう~」

ひかり 「おはよう。」

そら 「夏休みの課題進んでる??私は、全然ダメ。」

ひかり 「私もだよ。」

そら 「私、感想文とかまじ無理!文章書けない~~。だから、今年は絵を描きます。」

ひかり 「そらの絵・・・見てみたいかも。がんばってね。」

そら 「ありがとう!私、がんばる。ひかりは、やっぱり・・」

ひかり 「今年は、書道に挑戦してみようと思う。」

そら 「・・・そっか。がんばってね。」



夕方



ひかり家に帰ると真っ先に、自分の部屋へ向かう。

鞄を机の横に置きベットに横になる。)

机の上には、書きかけの物語とペン。



ひかり「 はあ。」(ため息)そのまま、目を閉じる。



夢を見た。



あかり 「うわ~すごい!!すごい!!!」(きらきらな笑顔で)

ひかり 「どうだった??」

あかり 「おもしろかった!!!!

あのね、あのね、あかりはお話に出てくるみらいくんがすき。

だって、優しくて、かっこいいんだもん。」

ひかり 「あかりは、みらいが好きなんだ。

お姉ちゃんも、大好きだよ。」


 


現実に戻り、涙を浮かべるひかり。


ひかり 「あかり・・・・。」




     物語は、静かに動き出す。



みらい 「どうして、泣いてる。」

ひかり 「!?・・??」



ひかりを見つめるみらい



ひかり 「誰?」

みらい 「みらい。」

ひかり 「みらい・・・。」

みらい 「そう。みらい。ひかりに会いに来た。」

ひかり 「・・・知らない。何、あんた。勝手に人の部屋に入ってきてるの。」

みらい 「だって、ここ俺の家だもん。」

ひかり 「はあ??意味がわからない。早く出て行って。」

みらい 「嫌だ。ひかりが物語の続きを書くまで帰らない。」



  拳を震わせて、怒りの表情を見せるひかり。

  

ひかり 「・・・・・何よ!!みんなして。私は、わたしは・・・・」

みらい 「書きたいんだろ。」

ひかり 「出て行け!!!!!!」




ひかりの部屋から追い出されるみらい。

ベッドに突っ伏し、肩を震わせるひかり。


ひかり「(M)私が・・・あかりを殺したんだ。」




次の日の放課後。


ひかりは、晴れない気持ちで家の方へと足を進めていた。

すると、



みらい「そんな顔してると、幸せ逃げていくぞ。」

ひかり「えっ」

みらい「よっ!」

ひかり「なんで、あんたがここにいるのよ。」

みらい「待ってた。」

ひかり「知らない。」


みらいを無視して、そのまま家の方へ向かおうとする。



みらい 「俺、この町よく知らないから案内してよ。」



 ひかりの手首を掴むみらい。



ひかり 「はっ!?なんで、私が」

みらい 「いいじゃんか。俺、知り合いいねえし。」

ひかり 「離して」

みらい 「向こうになにかある!!」

ひかり 「ちょっと!!!!」


みらいは、ひかりの手を引く。



そこには、ライトアップされた提灯が列をなして明るく道を照らしていた。(絵)




ひかり「・・・そっか、今日は町のお祭りの日か。」

みらい「うわ~すげ!!」


 子どものように、はしゃぐみらい。

そんなみらいを見てあきれるひかり。



ひかり「バカみたい。でも・・・きれい。」

 つないだ手をなぜか、振りほどけなかった。

彼の手は、温かくて、心地よかった。




つなぐ 「え~ん。」

ひかり 「・・・・?」


みらい、いち早く子どもに気づき駆け寄る。


みらい 「どうした??

おいっ何か言えよ。」



さらに、激しく泣き出す子ども。

困り果てるみらい

ひかり、とっさに子どもを自分の胸の中に抱き寄せる。



ひかり 「大丈夫だよ。お姉ちゃんが傍にいるから。」




ひかり「もう、大丈夫??」

つなぐ「うん。」


みらい「 おまえ、なかなかいいやつだな。」

ひかり「・・・別に、そんなんじゃ」

みらい 「ぼうや、どうして泣いていたんだ?」

つなぐ 「僕、迷子になっちゃったの。」

ひかり 「一人で怖かったね。誰と一緒にお祭りに来たの??」

つなぐ 「お母さん。」

みらい 「よし!!一緒にお母さん探すか!!」

ひかり 「そうね。」

つなぐ (うれしそうに。)「ありがとう。」

みらい 「ぼうや、名前は??」

つなぐ 「つなぐ。」


ひかり 「つなぐくん。いいお名前だね。」

みらい 「つなぐ。いい名前だな。」

ひかり「ちょっと、マネしないでよ!」

みらい「マネなんかしてねーよ!」

つなぐ「二人ともケンカしないで!」

ひかり・みらい「・・・・・はい。」



三人でお母さん捜しを始める。


まるで、3人で冒険しているみたいだった。

いろとりどりの出店、空に大きく打ち上げられる花火、いつもより多い人。

ちょっと、油断したら離れ離れになってしまいそう。

だから、お互いの手をぎゅっと握りしめていた。

しかし、なかなかお母さんは、見つからない。

つなぐは、だんだん不安な気持ちでいっぱいになり

とうとう、つなぐ泣きだしてしまう。


つなぐ「う、う、お母さーん!」

困ってしまうひかり。

突然、物語を語りだすみらい。


みらい 「むかし、むかしあるところに・・・」



自分が描いた物語を語るみらいに驚くひかり。

身振り手振りで表情豊かに語り続けるみらい。

いつのまにか物語に引き込まれているつなぐ。





つなぐ 「うわー!!すっごくおもしろかった。

続きは、続きは??」

みらい 「また、今度な」

つなぐ「うん!お話に出てくるみらい君かっこいい!

僕大きくなったらみらい君みたいになる!!」

みらい「きっと、なれるぜ!」

ひかり「・・・。」

つなぐ「このお話、誰がつくったの?」

みらい 「ひかりお姉ちゃん!」

つなぐ「えっ すご~い!!」

みらい 「そうだろ。お姉ちゃんがつくるお話は、すっごくおもしろいんだぞ。」

つなぐ 「へえ!!(わくわくした表情で)お姉ちゃん、またお話作ってね。」




ひかり、いつの間にか走り出していた。まるで、何かから必死に逃げるように。


ひかり「嫌だ、嫌だ、嫌だ。」

ひかりの目から大粒の涙が流れ落ちる。



無我夢中で走るひかり。いつの間にかお祭りの会場から少し外れたところにある神社にたどり着いていた。疲れて、その場にしゃがみ込む。

ひかり「・・・・・・誰か、たすけて。」



みらい「ひかり。」

ひかり「こないで。」

みらい「・・・。」

ひかり「こないでって言ってるじゃん。」

みらい「涙を止める方法知ってるか?」

ひかり「私は、泣いてなんかない。」

みらい「思いっきり泣くこと。」

ひかり「うるさい!!」



みらい「そしたら、必ず止まる。」


ひかり「え~~ん。」

子供のような声が出た。はじめて、人前で大声で泣いた。




つなぐ「おねえちゃん。お兄ちゃん。」

みらい「ごめんなほったらかしにして。」

ひかり「ごめんね。」

つなぐ「うん!」


突然、つなぐの名を呼ぶ女性の声が聞こえてくる。



つなぐ母 「つなぐ!!!!」

つなぐ 「・・・・!?・・・・お母さん???」

つなぐ母 「つなぐ。」

つなぐ 「お母さん!!!!!!」

つなぐ母「よかった。本当によかった。」



二人で、抱き合う。



ひかり 「よかった。」

みらい「涙。」

ひかり「えっ!?ちがう、これは・・」

みらい「誰もみてない。」

ひかり「・・・・・ばか。」

つなぐ 「お兄ちゃん、お姉ちゃん今日は、ありがとう。また、遊ぼうね。」

みらい 「おう!!」

ひかり 「うん。」


帰り道


みらい 「今日は、楽しかった。ありがとうな。」

ひかり 「うん。みらい。」

みらい 「どうした??」

ひかり 「・・・・。」

みらい 「何か言えよ。」

ひかり 「今日、8月10日。あかりの誕生日。」

みらい 「・・。」

ひかり「 あかりに会いたい。」


みらい、そっと光の頭に手を乗せる。


みらい 「ひかり。目を閉じて。」

ひかり「 えっ」

みらい 「早く。」



そこは、見渡す限り真っ白な世界だった。

まるで、夢の中みたい。

一人の少女が立っていた。どこか、見覚えのあるうしろ姿・・・



あかり 「お姉ちゃん。」

ひかり 「・・・・あかり。」

あかり 「うん!」

ひかり 「あかり。ごめん。」

あかり「お姉ちゃん?」

ひかり「本当はね・・私、あかりのこと忘れようと必死だった。

怖かったのあかりが私のこと憎んでるとおもってたから。

だから、だから・・・・でも、忘れられなかったの、やっぱりあかりのことが大好きだから。」


あかり 「うん。」

ひかり 「あかり。」

あかり 「おねえちゃん。」

ひかり 「・・・うん。」

あかり 「えへへ」

ひかり「あかり、ハッピーバースデーおめでとう」

あかり「ありがとう!!」



みらい 「ひかり。ひかり。」


目を開けるひかり


ひかり 「みらい。」

みらい 「おう。(ひかりの頭をくしゃくしゃにする。)」

ひかり 「・・ありがとう。」

みらい、自分の手をじっと見つめる。


みらい 「・・・・・

     俺、そろそろ帰るか。」

ひかり 「えっ?」


みらい、ひかりからそっと離れる。




ひかり 「ちょっと待ってよ。

急に、どうしたの??」

みらい「 俺の役目は、終わり。」

ひかり 「えっ、役目って??」

みらい 「ひかりに笑顔を取り戻すこと。」

ひかり 「・・・・。」


みらい、ひかりの手を取り自分の胸に手を当てる。


みらい 「あたたかいな。」

ひかり 「えっ。」

みらい「いのちって。」

ひかり「みらい??」

みらい 「泣きたいときは、思いっきり泣けばいい、うれしいときは、お腹抱えて笑えばいい。立ち止まっても、また歩き出せばいい。」

ひかり 「・・・・・え。」


みらい 「過去は、変えられないけど、未来は変えられる。

・・・・・光がある場所に未来がある。ひかりがいる場所にみらいがいる。」


ひかり 「その、言葉・・・!?みらい。」

みらい 「続き書けよ。ハッピーエンドでよろしく!!」

ひかり 「・・・・。」

みらい 「返事は!!」

ひかり 「うん!!!」

みらい 「よくできました。」

みらいは、ひかりの頭をなでる。そして、ひかりから静かに離れる


ひかり 「みらい!!!」


みらい振り返る。


ひかり 「私、わたし・・頑張るから。絶対に、ハッピーエンドにするから。そしたら、また会いに来てくれるよね??」

みらい「おう!!!」



みらい、ひかりに背を向け歩き出す。そして、ひかりの前でふっと消えた。



涙は、止まらないけど心の中は雨上がりの空のようだった。



次の日の朝、



元気に家を出るひかり。

少し元気を取り戻したような娘の様子に笑顔になる母。




ひかり 「行ってきます!!」

お母さん 「行ってらっしゃい。」

ひかり「お母さん。」

お母さん「どうしたの?」

ひかり「いつも、ありがとう。」

お母さん「・・・早くいきなさい。」


少し、照れ笑いを浮かべる母。

恥ずかしそうに足早で学校へと向かうひかり。




学校。教室内。



ひかり 「おはよう。」

そら 「おはよう。どうしたの??なんか、いいことあった??」

ひかり 「さあね。」

そら 「なになに、教えてよ。」

ひかり 「秘密!あと、そら。私、夏休みの課題・・・」



ひかりの世界から少し離れた世界

一人の少年と少女が立っていた。


少年「雨やんだな。」

少女「うん。きれいな青空。」




      END

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