陰陽師異聞
冠梨惟人
異に聞こえし
うわさの広まった貴族屋敷から泣き声がするようになって、
華やかな
「どうされました、なにを、泣いておる」
迷い込んだのか、年の頃は少し喋れるくらいの
「ははさま。ははさま」
「ここはわたしの屋敷、そなたの母ごはここには居られますまい」
「きこえたのです、母さまが泣いておられた声が」
「その声はわたしの声。わたしが泣いていた声」
幼い
「わたしの声を母ごの声と思って屋敷に入り込んできたのであるか、母ごが心配しておられる、早くここを出て母ごの処に」
「母さまは死なれました」
若い女の顔が
「死なれたとな、死なれても母は子を心配しておられる」
「ぼくも、死んでいるのです」
言葉を聞くや、女は
「子が死んでいても母は死んだ我が子を心配しておる、早よ母の処に」
聞くと
「子も、母を心配しているのです、姫」
高かった
「何者ですか、あなた」
姫と呼ばれ、心を取り戻したのか落ち着いた声で
「わたしは
「
「姫の
狐のように細めていた目を見開き、
「姫さま、
姫が身を震わせながら
屋敷にしていた、物悲しいものがなくなり、
「ありがとうございます。これで娘も
「あの娘は子を失った悲しみのあまり、魔にあってしまった」
「魔に、あったか」
なにごとかを言おうとした顔を見ようとした
「いや、やはり」
そこまで言うと、
闇に流れる光が凛と響き、落ちる。時の彼方から、
間にあった。子に会い、生まれ変わる。姫の悲願は魔に会っても叶わない。だから出番が回って来た。
天を
心に思うと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます