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「仕方ないよ。分かってて選んだ仕事だし。平日だったらー、って思うけど、それじゃぁ他の人が行けないしな」
きっと幹事の子も分かっているだろうし、俺一人行けなくてもどうってことないだろ、今更。なんて思ってみたり。
「会場もここからじゃ遠いしな。俺は泊まって次の日に帰るつもりだし」
高校のある地元はここから結構な距離がある。今回の同窓会に俺らみたいな地元を出たメンバーはどれくらい出席するのだろうか。まぁ、そっちに居たままだったとしてもこの仕事をしていたら行けてないだろうけど。
「そろそろ来いよー? いくら年一で同窓会やってるって言っても、そのうち誘われなくなるぞー」
「え、マジで」
それはちょっと切ない、かも。
「うそうそ、そんな顔するなって」
し、してねぇし!
「花菱に会いたいって人、結構多いんだからな」
「え、そうなの?」
「そーだぞー、だから毎回連絡が来るんだろ? 毎回女子の何人かは残念そうにしているし」
え、マジで・・・?
「うそ」
「おいっ」
「どうでしょうね?」
ニヤリ、と演技っぽく口角を上げてから少年のように微笑む。なんでお前恋人いないの? やっぱり仕事が忙しいからか?
「いや、本当。あの頃のお前、結構目立っていたからな。本人が居なくても絶対話題に上がるし」
知らなかった、俺ってみんなの中でそんな感じなの?
「まぁ俺が上げるんだけど」
「お前かよっ」
「なははっ」
あぁ懐かしいこの感じ。卒業してもう何年も経っているって言うのに、この空気感は昔から少しも変わっていない。
顔を合わせるだけでタイムスリップしたみたいに、離れていた長い時間を飛び越えてしまう感じ。
そのうち、同窓会に顔を出すか。
「口だけにするなよ」
「うるさいっ」
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