第6話 背徳的

テーブル上のターニャの片手を、キースはとった。見返してくる彼女の手を両手で包み、自らの額に当てた。キースは目を閉じてテス教の祈りを捧げた。

 ターニャも自分の額を近づけ、キースの手に押し当てた。キースがつぶやく祈りを、同様に繰り返す。

 深夜の静かなダイニングに二人の声が空気にとけた。


 祈りを終えたキースは目を開けて顔を上げた。すぐ前にあるターニャの顔が自分を見つめていた。

 ターニャのもう片方の手が伸ばされ、キースの額の髪を撫でた。


「……あんた、あたしを慰める気がある……?」


 彼女の唇から、そうささやき声が漏れた。







※ SKY WORLDより抜粋。


友人の死を悼む男性と友人の母親が……あらあら。

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