第2話 3人の美少女と特別相談部
なんだかよく分からないうちに特別相談部とかいって生徒指導室に連れてこられた俺達。目の前には3人の美少女達が座っていたーー。
「みんな、よく集まってくれたわね。これから特別相談部を結成致しま〜す。活動内容は大まかに言ったから、まずはお互い自己紹介をしよっか!」
「「「「「…………………………」」」」」
御馴染みのハイテンションで先生が盛り上げるが誰1人として反応する者はいない。
「……えっと、では3年生からお願いします…」
急にテンションの下がった低い声に促され、1人の美少女が椅子から立ち上がった。
「……先生。わたしは生徒会長です。なのに何故こんな訳の分からないような部活に入らなければならないのですか?」
冷めた瞳に凛とした声。
彼女の名前は
この学校の3年生で生徒会長をやっている。
もちろん俺はこの人と話した事なんてない。
てか話す気もないが……。
咲乱高校は偏差値もあまり高くなく、際立って目立つ学校ではないが、その中でひときわ異彩を放ち学校一有名な美少女がいる。
それがこの彩風財閥のご令嬢である彩風花蓮先輩だ。
彼女は定期テストでも実力テストでも常に学年1位に鎮座する成績優秀者。
そしてその類い稀なる優れた容姿で常に注目を浴びている。
端正な顔立ち。艶のある黒髪ロング。メリハリはついているものの、全体的に線の細い体つき。
しかし、男子に告白されれば相手を容赦なく振るそのドSぶりで女子からは意味嫌われているらしい。
そして先生曰く授業態度は物凄く悪くいつも寝てばっかでろくに授業を聞いていないらしい。それなのにテストではいつも満点を取るので教師は手が焼けているそうだ。
「生徒会長っていっても役員に仕事を押し付けて自分は寝ているって苦情が来ているのよ!……何で貴女のような人が生徒会長なのかしら」
「しょうがないですよ。だってわたし、可愛いし頭もいいんですもん」
「……もっと真面目に選挙して欲しいわ…」
先生はまたこめかみに手を当ててため息をついている。ため息ばっかついてるから幸せになれないんじゃ……。
ひぃっ!なんか先生がこっち睨んでるよ。だから何で分かるんだよ、あんた。
「てか先生!何でアタシまで連れてこられたの!マジ意味分かんないんですけど!?」
そう言って
「あの、初めて見たんですけど誰ですか?」
ついつい本当の事を話してしまったがしょうがない。だってマジ初めて見たんで……。
「はぁ!?何言ってんの、あんた。喧嘩売ってるん?アタシは
「いや、興味ないんで」
これは本当のことだ。俺は有紗以外の人間には興味がない。彩風先輩も杏先生もたまたま覚えてただけだ。それ以外は本当に知らない。
「むき〜っ!アンタ本当むかつくっ!アタシだってあんたみたいなシスコンなんかに興味ないんだからね!2度と話かけんじゃないわよ!」
飛鳥は顔を真っ赤にして怒鳴ってくる
てかむき〜って……。普通使わないよな……。
「飛鳥さん。五月蝿いから静かにして欲しいのだけど」
「っさいわね!アンタも気に入らないのよ、彩風花蓮!」
「人をフルネームで言わないでもらえるかしら。あと、わたし貴女より学年が1つ上だから敬語を使いなさい。この万年ドベビッチ」
「……っ!確かにアタシは万年ドベだけどビッチじゃないし!」
……凄いな。学内二代美女の2人が揃って罵倒し合うとかどんな光景だよ。
そういえば、もう1人女の子がいたな。
真っ白な短髪に真紅の瞳。きっとカラーコンタクトでも入れているのだろう。それに一番目立つのは彼女が来ている真っ黒なゴスロリだ。何故制服ではなくゴスロリなのか分からないが。それにさっきから一言も喋ってないし。
「あ、あの〜、君は?」
俺は意を決してその子に近づいて名を訪ねた。
「貴様らに名乗る名などない……」
と
「先生?この子は一体?」
彼女が名乗ってくれないので仕方なく先生に聞くことにした。
「あぁ…その子は1年生の
極度の人見知りらしくてろくに話してくれないの。しかもなんか凄い格好してるし。本当はダメなんだけどね、何回注意しても着てくるから先生達は放っといてるのよね。」
なるほど、中二病ってやつか…。
「それであなた達は?」
彩風先輩が俺と有紗に問いかける。
そういえばまだ自己紹介してなかったな…。
「遅くなってすみません。俺は2年の
「花園有紗です。よろしくお願いします」
「そういえば…いつも一緒にいる仲の良い兄妹いる、とは聞いたことがあったけどあなた達のことだったのね」
「それで先生。何で俺達が呼ばれたんですか?」
俺は先生に一番の疑問をぶつけた。
金髪ハーフのギャルに成績優秀の生徒会長、人見知りの中二病患者。
こんなにも個性的なヤツらが揃っているなんてただの偶然じゃない。
「そう……、あなた達は何故ここにいるのか理解していないのね。いい?あなた達はこの学校の中でもトップクラスの問題児達なの。いつも成績最低者のくせに他人を見下している飛鳥恵美梨さん。成績は優秀だけど態度の悪い彩風花蓮さん。極度の人見知りで謎の格好をしている月野瑠樺さん。それにお互いを愛しすぎてる異常兄妹。そしてこの全員はその性格のため友達がいない。わたしは生徒指導の教師としてあなた達を更生して立派に高校生としての生活をしてもらうためにこの部活を作ったの。問題児のあなた達がこの学校のあらゆる悩みや問題を解決していくことによって他の部員達との仲も深まりその性格も更生出来るかなって思ったわけ」
「そういえばそうですね。わたしはともかくそこの万年ドベとかブラコンとシスコン兄妹とかそんなのばかりですもんね」
彩風先輩相変わらず容赦ないな…。
「ちなみにサボったりしたら通知表の成績を最低にするって職員会議で決まってるから。毎日しっかりと参加してね。もし休みたい時があったら先生に連絡してね。ほら、みんな携帯出して。電話番号とメアド交換するから。」
先生はそう言ってスマホを出した。俺達もスマホをだし先生の電話番号とメアドを登録した。
「ついでだからみんなも連絡先交換しといて。その方がべんりでしょ?」
「別に連絡することなんてないからいいですよ」
「まったくその通りね。アタシはあんたらと違って連絡先いっぱい持ってんだから」
「そう?じゃあ飛鳥さん抜きで交換しましょ?」
「そうですね。そうしましょう。」
俺達は飛鳥以外の連絡先を交換しあった。
「ちょっと!アタシのも交換しなさいよ!」
「あら、さっきと言ってる事が全然違うのだけどどういうことかしら」
「何でアタシだけ仲間はずれみたいな事するわけ?」
「だってあなたが交換したくないって言ってたから」
「先に言ったのはそこの男じゃん!」
「……冗談よ。あなたも交換しましょう。飛鳥さん」
「さ、最初からそうしなさいよね!」
さっきから思ってたけどこの2人以外と仲良いな…。
俺達は飛鳥の連絡先も交換した。
「うふふ。なんとかやっていけそうね。この部活は相談者の悩みを解決する事と同時に友達を作る場でもあるわけだからみんな仲良く名前で呼び合う事。いいわね?じゃあ今日はもうこれで解散にしましょう。また明日ね」
こうして俺達の部活動1日目が終わった。
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