祖父
あいろん
プロローグ
一番古い思い出はいつだろうか。
複雑な感情なんてものが、そもそも存在しない、スキキライだけで周りのものを見ていたその頃。
年に一度、理由もよく知らずに連れてこられた家で。
離れたところから目で追っている自分がいたような、そんな記憶が一番強く残っている。
田舎によくあるような広い庭で、その家に住んでいる同じくらいの女の子と遊んでいるように言われ。
どのように接していいかわからず、距離を測りかねていたように思う。
それ、を感じていたのは恐らく向こうもなのだろう、いや、むしろ向こうの方が強く感じていたのだろうか。
今となってはそんな風に思う。
ただ、年に一度といってもすでに何回も顔を会わせてはいるはずで。
子供ながらにこのまま気まずいのはダメだと感じ、なんとか話しかけようとしたときも有ったように思う。
それでも、二人の間の空気はぎこちないままで、今になってはその時感じていたのであろうもやもやとした感情だけが残っている。
最後まで距離が解らなかったように思う、それは直線的な距離ではなかった。
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