願いの終着点

 そのあとも、僕らは情報を発信し続けた。


 時には、人々には対岸の火事に見えるような、世界の悲劇を。


 時には、自分たちの近くの片隅の、誰も気づかないような悲劇を。


 それがツヤマの望みだったから。


 僕のことを思い、助けてくれたから。


 この前は名前もくれたのだ。


 世界一生きたカラスが、ワタリガラスだったことから、ワタリという名前を。


 でも、足りない。


 僕の望みは、あの女の子にもう一度会うことだったから。


 流石に聡いツヤマも、人間と違い、表情というものがない僕の気持ちを見抜くのは難しかったようで、特には指摘はなかった。


 仕方ない。


『話があるんだ』


 復讐から五年後のある日。僕はツヤマに言った。

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