安心の一冊を。

歳を取れば取るほど読書する時間は減る。又、難解な本は読めなくなると断言したい。


前者は文字通りで分かるかと思いますが、後者はおそらく10代から20代とカクヨム読者の方には分からないだろうと思います。

中高年になると、体力としての持続力が落ちるだけではなく精神力としても著しく落ちる。自分だけではなく、周りの年上の人達を観察して感じた事です。


時間的にも精神的にも難解本や長編小説を読む余裕はありません。だから自分と同じかそれ以上の歳のビジネスマン達は読んで素早く解答に近づける、重要箇所が太字になっていたり文章が箇条書き多用のビジネス書や自己啓発書に手を伸ばす。もしくは、エンターテイメントとして読むなら漫画でしょう。それくらい大人の読書熱は下がる。


そうして読書熱が下がり続けていると、たまに本が読みたくなった時に困るのです。読みたい本がないどころか、自分がどういう本を読みたいのかすら判らなくなるからです。

そんな時、好きな作家がいれば、とりあえずその作家で自分が読んだことのない本を読めば「せっかく金と時間をかけたのに駄作でストレスがたまった」事態は防げる。大好きな作家なら一般的に仮に多少駄作があったとしてもファンフィルターがかかって許せることも多いからです。

お金を気にせずたくさん本を借りられる図書館を利用するならば、「好きな作家だが今回は駄作だった」リスクを防ぐために好きな作家も一人ではなく多ければ多いほどいいです。その作家達の作品で未読の物を数多く借りれば良い本に当たる可能性は高いでしょう。今の自分では読もうとしないボリュームのある長編でも好きな作家の物であればすんなり読める事もポイントです。私が好きな作家達はそれほど長編は書きませんが、それでも今の自分なら読めないだろうと言うぐらいの量は書いてくるからです。


そして、ここから本題に入るのですが、好きな作家、それもできるだけたくさんの好きな作家達には若いうちに出会っておいた方が良いと言う事です。10から20代の若いうち、しかも独身なら読書する時間はあなた達が思っている以上にたくさんあります。長編や超難解本も最後まで読み通す精神力もあります。そんな今のうちに気になる本はどんどん読んで好きな本や好きな作家を数多く持っておくことを強くお勧めします。

中高年になって久しく読書をせずに、ふと本を読みたくなった時に「好きな作家の本」と言う一冊があると心持が本当に違うからです。変わる事のない文体、主義主張に自分の心が本当に安心するのが分かります。自分の好みであるから苦も無く読了できる。情操教育とか語彙が増えるからとか色々言われていますが、「安心の一冊」のためにも若いうちの読書は本当に必要だと思うのです。

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