新天地~可愛い女神様
どうしてこうなったーー!!!?
だが、しかーし!
決して嫌な訳ではない!!
寧ろ……美味しい気がする!
誰得って?それは私にとっての超お得!!
「ふふふふふーっ」
思わず顔がにやけてしまう。
「……シャルロッテ。その顔は有り得ないわ」
金糸雀が冷たい視線をこちらに向けながら、そう辛辣に言い放った。
有り得ない顔!?
って、酷い……金糸雀。
だが、しかーし!(二回目)
そんな金糸雀の冷たい態度には負けないんだからねっ!?
私の心がそう簡単に挫けない理由は、すぐ側にある。
テレレテッテテー♪
女神カトリーナ(ドラえ◯ん風に)
って、……ちょっと、ふざけました。(テヘッ)
……ええと、私の膝の上には、何故か女神カトリーナが座っていらっしゃるのだ。
少女――幼女と言っても通じる外見は、とても可愛らしくて癒される……。
あ、誤解をしないで欲しいのだが、私は決してロリコンではない。
いや、ほら!女子って可愛いものとか、綺麗なものとか、小さいものが好きじゃないですか!?それだよ!それ!
そ、それに女神カトリーナは、見た目はロリロリだけど、中身はロリじゃないし!!
だから、私はロリコンではないよ!
セーフ!セー……フ、だよ……ね?
――って、私は誰に言い訳しているのだろうか。
まあ……それは強いて言えば、私を冷ややかに見ている金糸雀と、どこか怖い微笑みを浮かべている彼方に、だろうか。
……どうして彼方さんは、怒っていらっしゃるのだろうか?
え?呆れられた……?
い、嫌だ!彼方には嫌われたくない!
潤んだ瞳を二人に向けると、生暖かい視線が帰って来た。
――これは、どういう風に受け取れば良いのだろうか?
いや……愛想を尽かされた訳ではなさそうなので……良しとしよう。
この状況に至ったのは、私が女神カトリーナに掛けた『ストップ』の魔術が切れた瞬間に、さっとセイレーヌの元から逃げ出した女神カトリーナが、私の背後へと走って逃げて来た事から始まる。
その時、
「ああ……!よりにもよって、この場で一番怖くて面倒な相手を頼るなんて……!」
そう嘆かわしそうに言ったのクラウンの事は思い切り睨み付けておいた。
お前もここに居たのか!
……とは、最早突っ込まない。
奴は気付けば、いつもひっそりこっそりと同じ空間にいるのだ。
ぬらりひょんと言っても良い位に空気が薄い。
黙ったままジロリ睨み付けると、クラウンはそのまま物言わぬ鏡になった。
……私の何が気に入られたのか分からないが、どうやら女神カトリーナに懐かれた様だ。
ドレスの裾をギュッと握り締められながら、悲しそうな顔で首を傾げられたら――
状況がよく分からなくても、情に流されちゃうよね?
念の為の逃亡防止策として、私と女神カトリーナの手首を魔術で作ったリボンで結んで固定させていただいた。
「痛くないですか?」
膝の上の女神カトリーナの顔を覗き込みながら訪ねると、カトリーナは黙ったままコクンと大きく頷いた。
「か、
何だ!この愛らしい生き物は!!
「主よ。そなたの精神が崩壊する前に、本題に入った方が良いのではないか……?」
サイがジッと私を見つめてくる。
はっ……!
そうだよ!私には大事な使命があったじゃないか!
サイの曇りなき
「カトリーナ様――」
「カトリーナで良い」
「……ええと、では……カトリーナ。お願いがあります」
「良いよ」
「へっ?」
私、まだ何も言ってないよ!?
「あなたの願いは全部叶えてあげる。だから普通に話して」
「……え?ええと、う、うん。わ、分かった!」
――落ち着け、私。
交渉を持ち掛ける側の私が、こんなに動揺してどうするんだ。
「で、でも、良いの?私のお願いはカトリーナの眷属竜のラーゴさんの事だよ?」
「……あの竜の事は分かってるわ。でも、あなたなら信用出来るから、良い」
……良いの?
こんなに簡単に私のお願いを聞いてくれるとか……大丈夫?騙されてない??
「また悪い癖を……。呪いを解いてくれるなら良いんじゃないのかしら?」
「んー……そうなんだけど、アッサリしすぎていて気持ち悪いというか……」
「あなたの好きな『結果オーライ』な結末じゃない」
「そうなんだけどさ……」
なんか……こう……試されている気がしなくもないんだよね。
セイレーヌ、アーロンが何も言わないのも気になるし。
「意外と慎重なのね?」
ジッとカトリーナが私を見上げていた。
アースアイと言われる珍しい色合いの綺麗な瞳が、私の心の中まで見透かしている気がする。
『意外と』っていう言い方は気になるけど……この件に関しての私の事は些末な事でしかない。
「……自分以外の大切な人の事だからね。慎重にもなるよ」
「そこに……あなたは含めないの?」
「私?……私は大丈夫だから」
ポリっと頬を掻いた。
「その考えは……嫌いよ」
カトリーナはそう言うと、顔を俯かせてしまった。
……え?
私の何が女神カトリーナを俯かせてしまったのか……。
私は何も分からなかった。
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