ライス島~その後①
『おむすびころりん……スットントン。』
おむすび……。英語で言えば、ライスボール?
『おーい!おむすび○ーん』
……食べれないけど、おにぎりの仲間!こむすび○んもいるよ!
『これっくらいのーーお弁当箱にーーおにぎり、おにぎり……。』
丸、三角、俵型。家庭によって色々な形があるよね!
え?……何が言いたいか分からない……?
仕方ないなぁ……。教えてあ・げ・る!
【お・に・ぎ・り】作ったどーーーー!!!
ひゃっふーー!!
……分かりにくくて……すみません。
今の私は、テンションマックスなので大目に見てやって下さい……。
しかーし!
それもこれも【海苔】のせいである!!
まごうことなき【海苔】でせいである!!
なんと!!
ライス島にはマイ(米)だけじゃなく、海苔まで存在していたのだ!!
気付いたのは、炊きたてご飯パーティーの時だ。
ご飯を炊いたのは良いが……私は全くご飯のお供の事を考えていなかった。
それに気付いたのは、二杯目の白米をお代わりした時である。
『お・か・ず・が・な・い!!』
……あれは衝撃的だった。
もしかしたらここ最近で一位、二位を争う衝撃だった! ……と思う。
ガックリと肩を落とした私に……
「シャルロッテ様、どうしたマイ~?良かったらコレを食べるマイ~!」
コマチさんがそう言って差し出してくれたのは……【佃煮】だった。
海苔の佃煮!! ごはん○すよーのアレである。
…………私は衝撃を受けた。
私の身体の中を稲妻が駆け抜けた。
【炊いたご飯】が無いのに【海苔の佃煮】はあるのか!?……と。
海苔の佃煮と言えば、老若男女問わないご飯のお供である。
そして、ライス島でもマイのお供なのだそうだ。
バリバリの生米に……!?
いやいやいやいや!!どんな食べ物だ!!
私は直ぐにコマチさんに海苔の存在を尋ねた。
すると……
『こんなのは海に腐るほどありますマイ~。』
とにこやかに言うではないですか!
マ、マジですか!!
私は絶句した。
ライス島に上陸した時は全く気付いて無かった。
ましてやここは海に囲まれた島なのだから、海産物があってもおかしくはなかった。
私はその事に気付けなかった。
いや……気付く余裕が無かったのである。
私の全てはお米に集中していたから……!!
これまた食べられない分は、家畜の餌に……とかコマチさんが言ってる。
家畜がうらやま……。
つまり、私が言いたかったのは…『海苔があるなら早く言ってよ!!!』である。
因みにライス島では、海苔の事を『ノリノリ』と言うそうだ。
ノリノリ……。
意外と良いかもしれない。ノリノリ……。
そうして直ぐに案内してもらったのはライス島の港付近。
そこには大量の岩海苔があるのが遠目からも分かった。海苔!!
しかも、この岩海苔……。これまた一年中取り放題らしい。
海苔があるのだから、ワカメや昆布も勿論あったよ?
だが、それは置いておく……。
今は海苔だ。海苔なのだ!!
日本ならば海水温の低い数ヶ月しか取れないといわれている海苔。
どうしてこの島は一年中取れるのだろうか?
私はそう不思議に思いながら岩海苔を手に取ろうとした時に、海苔の生えている辺りの海水だけが冷たい事に気付いた。
流石は異世界……。何でもありだな。
海苔が出来る環境が確かにここにあった。
まあ、でもそのお陰で海苔がget出来るのだから良しとしましょう!
コマチさんにお借りしたカゴいっぱいに海苔を取った私は、ルンルン気分で村に戻った。
お兄様達やコマチさんや村の皆さんが見守る中で、私は作業に取りかかる。
まずは…私の前にサイラスに立っていてもらい、平らで少し斜めな形状の完全防水結界を張る。
その完全防水結界に取れたての岩海苔を、薄く均等にならしながらペタペタと貼っていくのだ。この地味な作業がなかなかに楽しい。
食べ物が出来る課程って面白いよね!
あ、取ってきた海苔が多すぎて結界が足りない……。
という事で、リカルド様とお兄様にも協力をしてもらう。
二人の前に同じく結界を張り、海苔を張り付けて行くのだが……。
私の作業を見ていた子供達が手伝ってくれた。楽しそうに見えたらしい。
そうした子供達のお手伝いのお陰で、あっという間に三人の前に巨大な海苔壁が出来た。
え?三人に結界を張った意味?
三人はただの目印である!
何もない空間に結界を張っても見えにくいじゃないか。……テヘッ。
出来上がった海苔の壁に……念のために浄化(消毒)をし、『ドライ』と呪文を唱えて乾燥させたら、パリッパリの海苔の完成である!!
出来たての海苔をハサミで適当な大きさに切って……塩むすびに巻いたら…………。
おーに・ぎ・り!おーに・ぎ・り!!(応援するように)
パクっと一口齧り付けば……甘味のあるご飯に程好い塩加減。ふっと漂う磯の香りが堪らない。
おーに・ぎ・り!おーに・ぎ・り!!(応援するように)
「……っ!!」
なんだこの病み付きになりそうな味は!!
大地の恵みと海の恵みのマリアージュやー!
って誰やねん!!
やっぱり海苔のおにぎりは美味しかった。
生きていて良かった……!!
……と、まあそんなこんなで、これまた喜んだサイラスにパリパリ海苔のレシピも伝授したら、これまた定期的に送ってもらえる事になった。
ライス島最高!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。