お酒のために乙女ゲー設定をぶち壊した結果、悪役令嬢がチート令嬢になりました
ゆなか
シャルロッテ12歳篇
プロローグ
私が所謂、前世なるものを思い出したのは12歳の頃だった。現代社会ではコンプライアンスがどうのこうので、廃れてるのかもしれない日本的文化(?)。
『ちょっとで良いから舐めてごらん』
大丈夫。18禁的なのではありません。
しいていうなら20禁…?
まあ、それは置いておこう。
小さな子供達が大人から受ける洗礼とも言える儀式だ。
『ビールの泡だけ舐めてみる?』というやつである。
この世界で言う所のエール。たまたま遊び(お忍び?)で邸を訪れていた、叔父様に勧められ、泡だけでなくエール自体まで全て飲み干してそのまま倒れた。
「キャー!!」
お母様叫ぶ。
「医者を呼べ!!」
お父様慌てる。
「あははははっ!」
叔父様爆笑…。
爆笑って!おい!
初めてのお酒を口にした私は、座っていた椅子ごとひっくり返ったのだ。
だって、白い泡がふわふわしていて美味しそうだったんだもん!テヘペロ。
そんなこんなで気を失った私は、そのまま夢を見た。
************
地方から東京に上京し、数年前に恋人がいたのを最後に、現在は自由なお一人様生活を満喫していた。
仕事は某有名デパートの衣料品売場での接客業。
唯一の趣味は、大好きなお酒を飲みながらする乙女ゲーム。
寂しくないですよ?
気ままなお一人様です!
好きなお酒は、カクテルや酎ハイ、甘いワイン。キンキンに冷えたビールも好きだったなぁ。
酒好きを公言してるくせに、日本酒やウイスキー、焼酎が飲めない私が酒好きを語るのはおこがましいかもしれない。
飲める様に成る為に頑張ってみたのだけど…私には合わなかった。
ごめんなさい。
幸いな事に、職場の上司や同僚にも恵まれ、趣味は充実。両親も諦めたのか、最近は孫の催促もしなくなった。
そうそう。そっちは他の姉や弟に期待して下さい。
そんなこんなで、私は優雅な(?)お一人様生活を満喫していたのだ。
あの日までは。
その日は朝から気持ちの良い程の晴天で、早起きの苦手な筈の私が、何故かスッキリ目を覚ました。
そんな、珍しくも気分の良い中で仕事に行ったら事件が起きたのだ。
『女子トイレに忘れものがあるよ。』
お客さんにそう言われ、
お客様の忘れ物だろうか。
バッグに手を伸ばそうとした所で、中から白い煙が出始めている事に気が付いた。
!!
これはダメなやつだ!
「衣料品担当 天羽です!2階の女子トイレで不審物を発見しました!バッグの中から煙が出てます!至急、応援をお願いします!」
耳から外れ気味だった無線用のイヤホンをギュッと耳の奥に差し込みながら、制服の胸元に挟んで付けてあったマイクに向かって呼び掛ける。
すると、
「大丈夫!?分かった!近くにお客様がいたら、誘導をお願い!でも、無茶はしちゃダメよ!命を守る行動をしてね!」
直ぐに慌てた声で、主任の斉川さんから返答が来た。
口元をハンカチで押さえながら、個室を巡りトイレの中にお客さんが残っていないかの確認をする。
よし!誰もいない!
逃げよう。
煙はもくもくと出続け、トイレの中は煙でいっぱいだった。これでは、もう女子トイレの外にも流れているだろう。
真っ白い視界の中、壁伝いに出口を目指す。
後少しで…出口…!!
女子トイレの入口の扉を掴んだ所で、私の記憶が途切れた。
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