夢望の日記 @3

 どうにもならない……のかもしれませんね。

 今日、会話にこそ出しませんでしたが、結叶くんの中で何かが変わったことは、あの時なんとなくわかっていました。

 その前に私が結叶くんを押し倒して……しまったのはもう記憶を封印するしかなさそうですが、もしかしたら、そこに原因があったのかもしれません。

 例えば、私が、その、ビ、ビッチだと思われてしまったとか。あの時の私はなんだか頭がふらふらしてて、いつの間にか結叶くんを……。

 ……考えてたら熱くなってきちゃいました。

 私、なんであの時あんなえっちな気持ちになっちゃってたんでしょう……?

 たぶん、あの時結叶くんが止めてくれなければ、私はきっと……。

 で、でもやってしまったことは取り返しがつかないのです。前を向きましょう、前を。

 もし未来の私がこの日の日記を見ているとしたら、このあたりは読み飛ばすことをおすすめします。

 はい、もう私はキレイさっぱり忘れましたよ! 下着姿を見られたことも、結叶くんを押し倒してしまったことも。

 ……って、何書き残してるんでしょう私は。


 いや、そんな場合ではありません。日記帳の余白も狭くなってきましたし、ここらへんからは真面目なことを書きましょう。

 とにかく、結叶くんはもう今までの結叶くんではなくなってしまったのだと思います。それは変化の時を目の当たりにした私がよくわかっています。

 でも、もう宣言してしまいますね。

 私はそれでも、結叶くんが好きなのです。

 入学当初、クラスにあまり馴染めなかった私に、愛華は親身に接してくれました。今となってはいい親友です。

 でも、入学から一週間が経とうとしている時に、私は気づいたのです。

 クラスの中でただ一人、何にも染まらない、ただつまらなそうな目で過ごしている男子がいることに。

 一人でいると不安になってしまう私にとっては衝撃的でした。その男子は――結叶くんは、全く不安そうな顔をせず、全てを俯瞰的に見つめていました。

 それが私が結叶くんを知った時でした。

 そして次第に私は結叶くんを意識するようになっていきました。

 惹かれたのはそこだけではありません。日々、この人といることができたらきっと私の人生は輝くんじゃないか。そう思い始めたのです。

 だから、やっと掴んだこのチャンスは不意にするつもりはありません。

 たとえ結叶くんが私から離れていったとしても、私がその手をギュッと捕まえます。振り返らせてみせます。引き戻してみせます。

 それが、私の望む道です。


 ―――――――――――――――――――――――


「よし。明日こそは元気に学校行きますよ!」

 熱を測って平熱なのを確認して、私はまだ早いうちにベッドの中へ潜り込みました。

「結叶くんを捕まえに行きます!」

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