当たり外れ
武器を担いで帰ってきた哲郎。
「これが今回のアーティファクトだな」
ガシャン!!
と、軽々と担いでいた武器を下ろした哲郎。
材質はわからないが、鈍い銀色のボディに、やたら大きな銃身、でかい砲弾でも打つのか、やたら大きな四角い銃口。
歪な形の、見るからに重そうな、巨大な銃だ。
だが、哲郎はそんな銃を片手で構える。
その動作も、武器の重さなどが感じさせないもので、それはまるで見た目だけのおもちゃの銃みたいにも思える。
そんなもので大丈夫か?と、少し不安になる光景だ。
が、
「なかなかいいのがきたな」
アドルフがそれを見て満足そうに答える。
「これならギリ勝てそうだ」
担いだアーティファクトを構えた哲郎がスコープを覗いて言う。
ちなみに、
カルロスは魔法陣を探しに行った。
まだ一度しか死んでなくて、一番動きやすい身に、見つかっても撒くのが上手いようで、最悪ダメージを受けても回復できると言う、この上ない理由で選ばれた。
ちなみに、武器を手に入れた後はリーチのアドルフと哲郎は待機、まだ来たばかりのジェームズは、一人でウロウロするのはかえって危ないとのことで、待機となった。
「大丈夫なのか?それ」
ロッカー前のキャンプファイアを囲みながら話をする3人。
不安を隠しきれないジェームズが、哲郎に問いかける。
「ああ、大丈夫だ。これは割とあたりで、使い方がわかる」
当たり外れの判断基準が使い方がわかるかどうかなのか……と、さらに不安が増すジェームズ。
「これまでにも、なんどもこれで生還している、安心……は無理だが、期待はしていい」
アドルフも、大真面目に続けた。
「言いたいことは何となくわかるが、これがアーティファクトなんだ」
言いながら哲郎が持つアーティファクトを叩くアドルフ。
叩かれた銃もゴーンゴーン、と、中に何も入ってないみたいな軽い音がしている。
ますます不安になるが、他ならぬ二人が言うのだから間違いないのだろうとなんとか自分を納得させるジェームズ。
原理はわからないし、使い方もわからないものもある。
ただ、使えればあの化け物すら倒せるくらいの威力が出せる武器。
本当にその通りだった。
「わかった。全て信じる」
「ああ、助かる」
答えたジェームズに、頷く哲郎。
「ぐわぁぁぁー‼︎」
遠くで、いつか聞いたカルロスの断末魔が聞こえた。
同時に、中立の生物のものとも思しき獣の声も聞こえたので、おそらく見つかって逃げようとしたが失敗してやられてしまったのだろう。
「あいつ、しくじりやがったな‼︎」
見えるようになった赤い人影を確認して、苛立たしげに舌打ちするアドルフ。
「仕方ない。まずはカルロスを助けに行くぞ」
哲郎の指示と共に、哲郎、アドルフ、ジェームズは、カルロスの救助へ向かった。
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