中立の生物

カルロスは後方、アドルフとジェームズは左右を周回しながら索敵することになった。



「あの生物はなんだ?さっきの化け物にしてはやけに小さく見えるが……」


前方10メートルほどの位置にいる、体長2メートル前後の、トカゲを指差して問うジェームズ。


「ああ、あれは中立の生物だ。名前は知らん」


アドルフが答える。

「中立?」


「そう、こちらから攻撃さえしなければ襲ってこない。」


カルロスが補足説明をする。


「攻撃したなら、その相手に、たとえオリジナルだとしても襲いにいく」


怒らせると怖い生物のようだ。


「中立の生物は、フィールド内に結構な数いるぞ?種類も豊富。」


さらに、倒すと一時的なバフを得られるそうな。


ただ、結構強いから、倒すのは大変らしい。


「おまけに今攻撃すると敵に気づかれる。下手に触らない方がいい」


攻撃すると、中立の生物は周辺の仲間も反応するそうだ。


敵もその感覚を持っていて、そこに人がいることがわかるのだとか。




「オリジナルとの戦闘になった時、奴に攻撃させて戦わせるのが今はベストだな」


乱戦になると、流れ弾が中立の生物に被弾しやすくなる。




うまく攻撃を誘導すれば、かなりの時間をかせげるそうだ。


ただバフも敵に付与されるから、逃げる時の時間稼ぎに使うのがいいらしい。


「ただ、敵は中立の生物を食ってもステージが上がるからな。こうしてる今も中立の生物を食って力を溜めていることだろう」


考え込むように言うアドルフ。


つまりあまり時間をかけていると、こちらが振りになる一方というわけだ。




「おっ、無事にアーティファクトを手に入れられたみたいだな」


カルロスが、身の丈ほどある大きな武器を担いで帰って出てきた哲郎を見て明るく言った。

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