春考

ハツキ

序考

閃輝と暗転が春の終わりを告げる。

濁白がそらを覆い、万象は湿り切っている。


二十五度目の春は、季節の移ろいを忘れてから迎える七度目の春であり、自前の柵を破ってから迎える初めての春でもあった。それでいて、穏やかとは程遠い足並みで駆け抜ける群像に急かされるような、目まぐるしきものであった。それでも、私はとどまっていた。


脈絡なき情景を思い返し、形骸から意味を呼び起こすために、私は春をしたためることにした。


春考。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春考 ハツキ @hatzxi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ