第7話

「美紀、あんた気をつけなさいよ。どうやら狐面は、超有名な刀匠の刀を狙ってるみたいだから」

「へ~、そうなんだ」

「なに、その気の無い返事は」

「べつに~。でも、狐面が現れたら、正宗で叩き切ってやる」

「何言ってんの!それはだめ。一人であいつと戦うのは、絶対にダメ。もしもそんなことになったら、逃げて。おねがいだから」

「わ、わかった。一人でなんか戦わない。これでいい?」


うむ、わしも早紀の意見に賛成じゃ。

逃げたほうが、被害は少なくて済むじゃろうからな。

それでも、逃げられなかったときは、戦うしかないが。

美紀と早紀の会話を聞いた正宗も、逃げるという事には賛成だった。

いま、村正と小夜は海を渡り四国にいた。


「おなかすいた」

「さっき、定食屋でハンバーグ定食食べたばかりだろうが。太るぞ」

「だいじょうぶ。私太らないから」


どこからそんな自信が沸いてくるんだか。

まあ、たしかに太らない体質みたいだが。


「それなら、せっかく高知にいるんだ。カツオのたたきなんかどうだ」

「うん、それいい。カツオのたたき」


その日の小夜の3時のおやつは、カツオのたたきになった。

しばらく小夜は、高知をぶらぶら散策することになった。

桂浜では、「へ~これが、坂本龍馬の銅像か~」

四万十川では、「水きれい~透き通ってる~」と、体を遊覧船から乗り出し落ちかけたり

仁淀川では、風景を満喫。

お城が好きな高知城では「これが高知城か~かっこいい~」

と、小夜なりに高知を満喫した。


「どうだ、リフレッシュできたか」

「うん、たのしかった」

「そうか、ではいいことを教えてやろう。吉房を見つけたぞ」

「福岡一文字の?」

「そうだ」


小夜は嬉しそうな、子供の笑顔をした。

早速小夜は行動に移した。

村正は、吉房があるのを分かってはいたが、小夜には知らせずにいた。

体を休ませるために。

高知市外から東に少し外れた交差点で、小夜は村正を道路に突き刺した。

いつものように妖魔が現れると、少し離れたところから小夜は様子を伺う。

5分ほどすると、結界士に妖魔は閉じ込められた。

それから3分ほどで黒巫女は到着した。

人数は5人。

5人の黒巫女が封印するために、妖魔と戦っていると、別の黒巫女がやってきた。

その数3人。

だが、3人は封印には加わろうとはしない。


「あれ、どういうことかな」

「ああ、お前が出てきたら、迎え撃つ気なんだろ。たぶん、あの3人はこの間の奴らだ」

「ああ~」


小夜は、この間のことの用がない限り、妖魔を倒すのを待ってやる。

正々堂々黒巫女を叩き伏せるために。

妖魔が封印されるのを見て、様子を伺っていた小夜は現れた。


「用があるのはそいつだけ。邪魔をしなければ見逃がしてやる」


小夜は本当に見逃がしてやる気であったが、それは逆に黒巫女たちを逆なでした。


「見逃がしてやる?馬鹿じゃないの狐。あんたはここで終わりよ。今日はあんたを殺す気で行くから」

「ふ~ん、わかった」


小夜はそれを了承すると、後から来た黒巫女たちを斬り伏せた。

右手の肘から先が無くなった者。

左手の手首を落とされた者。

右足太ももが斬られ、ちぎれそうな者。

あっという間に、黒巫女は斬られた。

後は封印していた黒巫女たちだけ。

黒巫女たちは、逃げずに向かってくる。

小夜は同じように、腕を脚を切り落とした。

小夜は吉房を拾い上げると、闇に消えて行った。

魔導機動隊は手を出す前に、小夜はいなくなっていた。

宿屋に戻ると、小夜はいつものように吉房の手入れを始めた。


「へ~、地鉄は板目で地沸(ぢにえ)が小さくついてる。波紋は直刃(すぐは)で小丁子乱れ(こちょうしみだれ)か~」

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