破れそうな空

小雪

崩壊

うちの見とる世界って本物なんやろか。

ふと真っ黒になった空を見つめて考えてみる。


いつもの朝、いつもの通学路、いつもの学校、いつものクラスメイト、いつもの帰り道、いつもの夕食。毎日だいたいこんなもん。昨日のドラマで人気の俳優がカッコよかったとか、SNSで見た関わったこともないような同級生がなかなかだとか、お弁当の冷凍おかずが少し苦手なものだとか、小さいことを言えば変化はある。


なんて深いような適当なようなことを考えるのが好き。

「はよ、食べや。時間かかりすぎやない?」

8時を知らせる音楽が止むとかかる母の言葉。ゆっくりご飯を食べる私は、ちょっとせっかちな母にとって不思議な存在らしい。


1時間近くかけて、食事すませるとすぐにお風呂に入りたくなる。

今日は口の端がきになる。シミデビューかと思っていた点の色が一昨日より濃い気がしてくる。初めて見つけたときからの変化を考えるとこれは黒子なのか。

自分でも気づかないうちに増えるものなのか。嫌だな、なんて思いながら彼女は鏡にうつる自分の裸を隅々までチェックしていく。よく見れば、先週よりお腹が出ているような、その割に欲しい場所は全く増えない。

「お腹と一緒になくなるんだよな」

小さなつぶやきは水の音にかき消される。

コンプレックスのようなそうでないような、他人からみたらどうでもいいことでも、自分にとっては大きい時がある。かといって、それはずっとじゃない。秒針の音が気になる日もあれば、一瞬で眠りにつくことだってある。













また明日が今日になる。

いつもの今日。

いつもの通学路、いつもの電線で鳴くカラス。彼らを見上げて気づいた。



「空ってピンク色やっけ?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

破れそうな空 小雪 @onwave

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ