天の揺り籠――密室からの脱出と最後の希望――

向陽日向

序話 はじまり

「……以上のことから、この場所が巨大な密室であり、私たちは閉じ込められたと推測できます。また外部への連絡手段が皆無のため、救援も呼べません。それから……」


 生意気な少女がそう言った。


「うん。もういいよ。わかったから」


 すぐにそう切り返し、生意気な少女は少ししゅんとしたが、すぐに食ってかかってくる。


「ですが、これは紛れもない事実です。私たちはこの場所から永遠に――」


「おっと美輪ちゃん、タイム。君の言いたいことはわかった。でもこの場所をまだ全部調べた訳じゃないから、今の言葉の続きは調べ終わってからにしようか」


 反撃の言葉を言おうと口を開きかけたとき、大人びた青年が言った。彼の言葉で今度こそ生意気な少女――美輪ちゃんは口を噤んだ。


 僕たち三人は今、広間のような場所にいる。壁はコンクリート。ひんやりとした空気が部屋全体を包んでいる。天井から吊るされた弱々しい電球では満足に周囲を照らすことが出来ず、薄暗い。部屋の寒さも相まって身震いする。部屋に調度品などはなく、ただ広い空間が不気味に広がるのみである。

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