2ページ

「わぁなんだかドキドキしてきました」

「ふふ、私もです。主役の到着はもうすぐでしょうか」

 時計の針は招待状に書かれた時間の十分前。新婦二人はもうすぐ真っ白なリムジンに乗ってやって来る予定だそう。店内は既に二人を祝うために来店した人で賑やかになっている。みんな口々に「今日は良い日だ」と言っていた。俺もそう思う。

 二人の輝かしい門出を祝える日なのだから。

「きっと今頃二人ともワクワクしながらこっちに向かっていると思います。本当にパーティを楽しみにしていたから」

「今からお二人の笑顔が頭に浮かびます」

 きっとミナコさんは照れてはにかんでいて、リナさんは世界一幸せそうに笑うのだろう。二人とも可愛らしい人たちだから。

「あぁ、喜んでくれるといいぁ」

「大丈夫ですよ、きっと素晴らしいパーティになるでしょうから」

「どうして分かるんですか?」

 このパーティはカナエさんたちが二人を祝いたくて企画したものだ。二人は海外での挙式だけで終わらせるつもりだったらしいけど、どうしてもみんなで祝いたいと集まってこのパーティを開くことにしたらしい。

 手作りのウエディングケーキに花籠、それからウェルカムボード。あたたかくて優しくて、皆の笑顔が溢れていて、祝福の気持ちでいっぱいの空間。みんな、本当に二人の幸せを願っているんだって良く分かる。

 そんな素敵な空間が、素晴らしいものにならないはずがない。

「みんな本当に嬉しそうだからですよ。カナエさんも含めて、心からのお祝いの気持ちが表情に出ていますから。きっと今日は最高の一日になりますよ」 

 断言してもいい。今日は絶対に良い日になる。

「楽しみです」

「えぇ、私も」

 優しい眼差しに微笑みで答える。さぁ、もうすぐ二人の到着時間だ。ノックの音が待ち遠しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る