異世界転生。そして耳+尻尾+魔法

殺松

第1話 飛び降り

「なんで言うことができないの?」


「あんたなんか産まなきゃよかった…」


「産まれてきたからには、皆の役に立つことしてよ!」


「何もできないなら生きてないで今すぐ死んでこい!」







―――親に浴びせられる言葉の数々。


まだ14の私には相当キツイ言葉。


「ごめんなさ…」


「うるっさいのよ!」


私の頭を掴んで、壁にゴンゴンと当てた。


「か……ハッ…………かあ…さん……!やめ…て!ゴフッ」


「あんたは…喋ってないで、私たちの言うこと聞いてればいいのよ!」


ゴンゴンとやられる私の頭からは血が流れている。


「ただいま…!って母さん!何してるんだよ!」


「裕也!何してるの!こっちは気にしなくていいのよ!さあ、部屋に戻って好きなことしててね。お母さんはちょっと律におこってるだけだから」


母は、兄にだけは甘かった。


中学校に行ってから、私への態度が激変。


私は偏差値の低い中学校に通っているが、兄は国的にも有名な中学校に行っていたから。そして兄は今、大手IT企業に務めた。


母は毎回私と兄を比べては、こうやって私に罵声を浴びせて、何か言えば暴力をふるってきた。


「そんなこといいから!律を話せよ!」


「……裕也が言うならしょうがないわね…」


頭から、やっと手が離された。


「じゃあ、お母さんは2階に行ってるから。2人でご飯食べて?」


「わかったよ…」



母が上に行ったと共に、兄は私のそばに寄ってきた。


「大丈夫か律!」


「ゆう、、、。平気、、だ、よ」


「っ!待ってろ、今救急箱もってくるから!」


そう言って兄は自分の部屋へと向かった。






















なんで私って生きてるのかな。












生きてる意味ってあるのかな。










ないなら死んだ方がいいんだよね。















そんな疑問を抱き、解いた私はフラフラとマンションのエレベーターに裸足で向かった。



「律…!どこ行くんだよ!」


エレベーターの扉が閉まるほんの少しだけ兄に言った。


「ゆうにいは、生きてね」


そのまま俯き、兄がどんな表情をしているか見えないようにした。


そのまま扉は閉まり、屋上へと向かった。屋上に向かう最中、私は自分の左腕首をみた。


その左腕首には包帯が巻かれている。その包帯は紅く濁っていた。その包帯をとると、切り傷がある。


これは、リストカットした印。


生きる意味を見失った私はリストカットをして、タオルで首を締めたり、色んな自殺行為をした。


それでも死のうとする勇気が出なかったから、今まで生きてきた。


でも、それももうこれで終わりだ。今から死ぬ。誰にも心配されずに。


エレベーターが屋上についたことを私に知らせた。扉が開き、中から出た。


ぺたぺたと足音がする。冷たい。コンクリートの感触を足が教えてくれた。


柵をこえて下を見た。真下には交通道路があり、たくさんの車が通っているのがはっきり見えた。


私は柵の方を向いて私がぴょんと飛んだ瞬間、兄が走ってくるのが見えた。


手を掴もうとしたが、それは遅く。


まっすぐ落ちて行った。


































「ん…。…?あれ?痛くない?あ、もしかしてもう天界だから?だからなんの痛みも感じないの?」


不思議なことに、私はマンションの屋上から落ちたのに、どこも痛くなかった。


地面も冷たく、コンクリートのような感じ。でもそこにドロドロとしたような感触はない。だけど周りでゴロゴロと何かを引いている音が聞こえた。


「なんだ?この音…」


私はゆっくりと目を開けた。



そこに広がっていた景色は貨車が目の前で引かれている光景だった。


「邪魔だなぁ!さっさとどきな!」


大きなこえを出され私はびっくりとし、すぐ飛び起きた。


私は更にびっくりした。


目の前には頭に耳の生えた人、明らかに人には見えないトカゲのようなもの。


「あれ?死んだはずだけど…。


こ、これはもしかして…!
















異世界に来ちゃった系っすか?」


明らかに口調が変わっていたことにまたびっくりし、妙に自分が変な感じがした


「え、なに、これ」


私はすぐ近くにあった鏡を見た。


尾てい骨から尻尾のようなものがくっついていて頭には猫のような耳、でも体はもふもふとしておらず、見た目からすると頭に耳。尾てい骨には尻尾が生えていた。


いかにもこの世界に合わせたかのように。


「これは…



なに?


異世界転生っすか?」


どうやら私は異世界転生してしまったようです。




























「こんなの聞いてねーよー!」


私は叫んだ。周りが痛い目でみてくるが、私は気にせずに私は天を仰いだ。


「……まあ結果オーライ?あの世界からこっちの世界に来れたわけだし、こっちで楽しめばいっか!よかったよかった!」


私はこの世界のことをあっさり受け入れ、ガハハハハと笑うと、肩に誰かの手が置かれた。


「探したぞ!ミア!」


息を切らして私はその男に睨みつけられた。


その男は頭にも尻にも何も生えていなかった。ただ特徴的な蒼いに黒いマントののようなものを羽織っていた。マントの中は、きっちりボタンが締められていたのでわからなかった。


「アニメに出てきそうなキャラ……。えーっと。ごめん。だれ」


「誰ってないだろ!クーザ!クーザ・アキラシノ!お前同じ苗字だろうが!」


私はこの世界では名前も違ったようだ。


私は『ミア・アキラシノ』という名前らしく、以外にいい名前で安心した。











今までのことを整理すると

1…飛び降りたら異世界行けた

2…頭には耳、尻には尻尾が生えていた

3…私には兄(?)がおり、名前はクーザ・アキラシノ。

4…私の名前はミア・アキラシノ



と言うことだ。

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