フロンティアファンタジー

底辺小説家の日常。

第1話


 2050年…念願のフルダイブ型のVRゲームが発売された。

 デスゲームみたいな事件もなく、大量のゲーマーが誕生した。しかし、ゲームを始めるにいたって1つの問題が人々を襲う。

 それは、お金だ。


 まずVRゲーム本体の価格が15万円。大体一般職一ヶ月の給料くらいだろう。更にゲームソフトが1〜2万円する。合計約17万円…結構な大金だろう?


 毎月の生活費で五万円も使えれば、かなり贅沢な生活が出来るだろう。更に現代社会でほぼ必須と言われるスマートフォンが約1万円。

 ゲームを始める月に約23万円…これを高校生がやりたいと思うなら、親が結構金持ちか、学校後のバイトをやり始めコツコツ貯金をしないと出来ないだろう。



 フルダイブ型が世に出て5年…ようやくその問題に終止符がうたれる。

 VRゲーム専門学校設立とゲーム内貨幣の換金システムだ!

 この制度の開始により史上最大のゲーマー時代が始まろうとしていた。


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 〜2058年3月中学校卒業式〜


 この年の卒業生には第1期のVR専門学校『DVP学園』に入学する者も居るせいか、皆少し浮かれているような感じがある。そんな生徒の中に、浮かれてはいるものの今後に生活について不安を漏らしている1人の卒業生がいた。

 名を山口瑠也やまぐちりゅうや。運良くDVP学園の第1期生に選ばれた幸運の持ち主だ。


「はあ…もう卒業してしまう…。

 DVP学園に入学するまで後10日。奨学金制度のおかげで高校生から借金生活…」


 などとブツブツ呟いていると、隣から声をかけられる。


「瑠也、頭ん中で言ってるつもりだろうが丸聞こえだ!」


 瑠也のネガティヴな呟きは、同じ卒業生達が引くほどネチネチしたものだった。そんな視線に気づいた瑠也は…


「マジかよ…。良ちゃんもっと早く言ってくれよ!」


 矢神良一やがみりょういち。瑠也と同じくDVP学園の第1期生に選ばれた瑠也の親友である。

 そんなやりとりがありながらも、卒業式は進んでいき終わる。卒業生はそれぞれの道に進んで行く。


 卒業式が終わり、瑠也は自宅にいた。

 瑠也は母子家庭であり、母親はパートであまり家にはいないし、あまり贅沢とは言えない生活を送ってきたのだ。母親は、どんなときも前を向いて強く生きなさいと言い瑠也の事は自分でやりなさいという方針だったためか、他の同世代のやつよりしっかりしてるという自信が少しはあるようだ。

 そんな瑠也も、15年過ごした家を離れ、DVP学園の寮にてほぼ1人暮らしを始める事になる。

 卒業式の次の日には寮に入った瑠也は、現在での借金について考えながら日々を過ごして入学式を待つ。



 〜現在瑠也の借金総額〜

 VRゲーム本体価格15万円+DVP学園の入学費50万円+月々の学費4万3千6百円=179万6千4百円。

 高校生にとってはとんでもない借金である。

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