1=転移ダンガンツアー
僕はラノベ的な例に漏れず、平凡極まる高校生だった。
公立の高校に通っていて。
特に頭がいいってわけじゃないし。
特に顔がいいってわけじゃないし。
ただちょっと背が低くて、あとは、かなり重い女性恐怖症。
それだけ。人と違うところなんてのは。
「お前か……?」
突然、通学路の細い路地で、正面から拳銃を突き付けられて。
銀色ピッカピカのそれを見て、とっさに“ああ、最近のおもちゃは細かく作られてんだな”って思って――
「答えろ」
その次に、銃持ってるのが女の子だって気付いて――
「どうなんだ……?」
「ヒッ……近寄らないで」
ただただ怖くて、嫌悪感がした。
胃液が上る感覚もあったし、それもあって最悪で。
「近寄るなって言ってんだろ」
相手を必死に威嚇していた。睨み付けていた。
多分、それが悪かったんだと思う。
「そうか……面白そうだな」
何もない空にそう呟く、ボロい洋服に短パンの女子。
彼女がどこから出て来たのか。通行人がどこに行ってしまったのか。
それを考える暇も余裕も当然なくて。
「お前に決めたよ」
何も分からないまま、僕の視界は暗くなって。
これが死だって何と無く感じる。
それで、その一連が僕にとっての白いトラックだったんだ。
転生するためには、一度死ななきゃいけなかったから。
「――リーマ、水を汲んできな」
眩しすぎる白い光に、今度は目を細め、さらに目を覚ますと――
「食い倒れだゼ。それも上等な洋服を着てやがんゼ! ふはっはっはー!」
ハッピを羽織った少女が、目の前、にぃっと笑っていた。
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