第382話 懐かしい声だ

 2020年、春……



 早いモノだ。




 私たちが県立Y高校を卒業してから四年の月日が流れた。





 本来なら今年の夏……。



 華々しく東京五輪が開催されているはずだった。

 



 しかし新型コロナによる感染症が世界中で猛威を振るい、五輪は翌年の夏へ延期が決定した。




 パンデミック、緊急事態宣言など、およそ『パニック映画』でしか聴いた事のない言葉が報道番組から溢れてきた。






 着信音が鳴り響いた。




 ここは横須賀にある実家の私の部屋だ。



 高校最後の半年、合宿のような生活が思い出された。




 着信画面を確認すると【山中 うた】と記されてあった。




「ンゥ……😔💦💦💦 シーちゃんか❓❓」

 名前が【うた】なので私たちは彼女の事を『シーちゃん』と呼んでいた。




 私ら『ネイビーパーカー』を作った六人の中で唯一、彼氏がいただ。




 もっともその彼氏がゲス野郎で別の学校の彼女と関係し『妊娠騒動』があった。



 結局、妊娠は取り越し苦労だったが……




 あの時の事がネックになり、ほどなくその二股ゲス彼氏とは別れたそうだ。



「もしもし……」

 通話ボタンをタップした。




『あァ~、もしもしィ~ーー✨✨

 イチゴォ~~ーー✨😆🎶✨

 元気だったァ~ー❗❗❗』

 あの頃と変わらない懐かしい声だ。




 急に高校の時にタイムスリップしたみたいだ。





∠※。.:*:・'°☆※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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