第315話

「ちょっと…!!」

 私は、シーちゃんの肩を掴んだ。

「お金なら…、もう必要なくなったンだよ!!」

 彼女の耳許に囁いた。


「解かってるよ。でも…、大学行ったら……、私、一人暮らししようと思うの!!」

「え…? 一人暮らし…!!」

 

「ええ、実家を出て…、でもウチそんなお金出してくれそうにないから、今から少しでも貯めたいのよ!!」


「ああ…、そう!」

 私は力なく頷いた。

 シーちゃんはシーちゃんで考えているのだ。


「あ、じゃぁ、私もバイトしたい!!」

 ゴンちゃんが手でアピールした。

「え…? ゴンちゃんも…!!」

 ユリアンも困惑気味だ。

「じゃァ~…、私も!!」

 手を上げた。

「ッて、ダチョウ倶楽部かァ~!!」

 ユリアンが突っ込んだ。



 Y高校は、基本的にバイトを禁止にしていた。

 進学校なので、ほとんどが大学へ進む。

 そのため、生徒たちはバイトなどで時間を使っている暇などなかった。

 だが、私たちは推薦で進学も決まった事なので、学校に申請し許可が出ればバイトも可能なのだ。


「わかったわ。じゃぁ、校長先生に頼んでみるね。」

 ユリアンは笑顔で応えた。


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