第31話 結婚しようと思うの……

 何が、どうしたか。

 わからないだろう。

 だって、こっちが聴きたいくらいなんだから……




 ついさっき母親が帰宅した。

 渋い中年の男性と共にだ。



 驚いた事に、その男性は、勝利ショーリの父親だった。何度か、顔は合わせ挨拶くらいしたこともあった。



 そして、二人揃った所で、リビングで話があると切り出された。




 いきなり母親が発した言葉が、ウチにとって何とも衝撃的だった。



「イチゴ❗❗ 驚かないで……

 お母さん、結婚しようと思うの……」




「え……❓❓❓」

 一瞬、狐につままれたような気分だった。


「け、結婚……????」

 私は目をパチクリさせた。


「ゴッホン……」小さく私は咳払いをした。

「ン…、だ、誰が……」



「私よ。わ・た・しィ~……」

 ハッキリと母親は応えた。恥ずかしいのか、かすかに頬が紅く染まった。



「……」一瞬、リビングを沈黙が支配した。


 聴こえて来るのは妙に明るいCMだけだ。



「ン……、誰と……」まるで自分ウチの声ではないようだ。


 遠くで会話しているみたいに声がうつろだ。



「彼よ…… 川崎勝矢さん❗❗」

 母親は隣りに座った男性と見つめあった。

 まるで恋する女子高生のような眼差まなざしだ。



「どうも、勝利ショーリの父親の勝矢です」

 渋い声で挨拶をした。軽薄なショーリとは違って貫禄があった。



「……」私は無言で隣りに座ったショーリの顔をうかがった。


 相変わらず彼はニコニコと人懐っこい笑顔を浮かべていた。



「ふゥ~ーン…… みんな知ってたんだ」

 知らなかったのは、ウチだけ……

 ッてワケか。




「ほら、俺が事故で足を折った時、シモの世話までして貰ってさァ~😅💦💦💦」

 ショーリは肩をすくめ、苦笑いを浮かべた。



「ああ…… じゃ、そんな昔ッからの付き合いなンだ……」

 それッて、何年前よ……。





 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆




 

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