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「いやぁね、実は今までの人生、あまり甘いものを食べて来なかったんですけど、ある時会社の若い子が最近流行の、なんだっけ何とかジュニック? ジョニック? なアイスを食べたとかで写真を見せてくれて」

 今時はアイスでもインスタ映えを狙ったものが溢れているもんな。写真だけ撮って捨てるなんてバカもいるらしくて問題になっているみたいだけれど。

「その時は別にどうとも思っていなくて、ただそんなアイスがあるんだなって。ほら、僕娘がいないし、妻もそういうのには疎くて。ちょっと驚いたけど、特に食べたいとも思わなかったんですよ」

「息子さんとはそういうお話しはされないんですか?」

「しないですねぇ、スポーツのことは話してもスイーツのことは全然。それでこの間偶然、出張帰りにいつもは寄らないような街でそのお店を見つけたんです。しかも店の前には誰も並んでいなくて、これも家族での話のネタになるかなって思って、一つ買ってみたんです。色鮮やかなアイスとトッピングがおじさんには可愛らしすぎて食べるのも躊躇われたんですけれど、一口食べてみたらもう」

 そう言ってカミジョウさんは少年みたいに瞳を輝かせて言った。

「こんなにも美味しいものがあるのかって感動してしまって。凄いんですよ、見た目が派手なのに、ちゃんと美味しいですから」

 なんてワクワクしたトーンで言う。やっぱりほら、微笑ましいじゃないか。

「最近は妻ともそう言った店めぐりをしているんです。この間食べた生クリームのかかったアイスは絶品でした」

「私は一度もそういったアイスクリームは食べたことがないんです。でも美味しいのなら一度は食べてみたいかも。こう見えて甘党なんで」

「いやいや、そうだと思ったんです。これ、この近くだとここのアイスが可愛く美味しいですよ」

 スマホをスイスイ、と操作して店のホームページを出してくれる。若者顔負けの速さだ。

 ってあれ? 俺、クールで渋いキャラで売っていたはずなのに、甘党にも見えているの?

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