甘い誘惑に夢中
カゲトモ
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「マスターは何か夢中になっていることはありますか?」
「夢中、ですか?」
カミジョウさんが楽しそうな顔をしてそう訊いた。
うーん、一度本を読み出したり、料理を作りだしたりしたら夢中になるっちゃなるけど、今現在なにかにお熱で夢中になっているってのはもう長い事ないかもしれない。
「今のところ、ありませんね。私は冷たい男ですよ」
「何をおっしゃいます、マスターは熱い男でしょ」
え、俺いつの間にそんな暑苦しい男になっていたんだ? クールな無愛想キャラで売っているつもりだったのに。
「だってマスターの作るお酒は繊細で丁寧で美味しいじゃないですか」
「ふふ、褒めすぎですよ」
まぁ内心嬉しいけどね。
「カミジョウさんはどうですか? 何か夢中になっていること、ありますか?」
そう訊ねると、何でもない振りをしてカミジョウさんは答える。まぁ訊いて欲しいって顔に書いてあるけどね。
「ありますよ、最近凄くハマったことがあって」
「おや、なんですか、それは?」
「ふふ、笑っちゃダメですよ?」
「笑いませんとも」
って言ったカミジョウさんが先に笑ってるっての。
「実は・・・その、アイスクリーム、なんです」
「アイスクリーム?」
あの、食べるアイスクリームだよね? 俺より年上の、いい歳したおじさんがアイスクリームにハマってるって、なんかちょっと可愛いかも。
「あ、笑ったでしょ!」
「笑っていませんよ、微笑んだだけです」
「同じじゃないですかっ」
いやいや本当。笑うなんてナンセンス。これが微笑ましくなくて何だって言うんだ。
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