84.彼女のL 感想

 表紙の綺麗なイラストに惹かれて購入。ここ最近見たラノベの表紙の中でもかなり上位にくるほど綺麗な表紙だと思いました。


 作者の三田千恵さんは第18回えんため大賞優秀賞受賞作『リンドウにさよならを』でデビューした作家さんだそうです。


 『リンドウにさよならを』も評判が良かったと思うので、こちらの方も今度読んでみたいですね。



◆タイトル『彼女のL~嘘つきたちの攻防戦~』

◆作者 三田千恵

◆イラスト しぐれうい

◆レーベル ファミ通文庫

◆発売日 2018/08/30


◆内容(「BOOK」データベースより)

遠藤正樹は嘘がわかる特異体質で、川端小百合は決して嘘をつかない少女だった。そして学校のアイドル佐倉成美は、常に嘘をふりまく少女だった。ある日、川端と佐倉の共通の友人が亡くなってしまう。自殺という噂だったが川端は「彼女は殺された」と言い、佐倉も「彼女を追い詰めたのは私」とうそぶく。真相を知りたいと川端に頼まれた正樹は、その力で誰も知らない佐倉の心の内を知ってしまい―。願いと嘘と恋が交錯するトライアングルストーリー。


◆感想


 海辺の「おーしゃんびゅー」から始まる印象的な出だし。ここからもう心を掴まれました。何となくですが「このお話好きな気がする」と思う出だしでしたね。


 そして主人公遠藤の「嘘が見える」という設定が明かされ、ヒロイン川端登場。ここからラブコメになってくると思いきや……話は一気にきな臭い方向へ。


 遠藤は川端と、彼女のいとこである小林美沙の死の真相を探るというミステリー展開になります。


 が、怪しげな学園のアイドルの佐倉は一筋縄では行かない様子。佐倉だけでなく、主人公の遠藤や川端、美沙、登場人物たちそれぞれの悩みや葛藤もリアルで、感情移入して読んでしまいました。


 嘘を見抜ける能力も便利ですが万能ではなく、絶妙なバランスで、先の展開が読めません。ラスト付近で伏線が綺麗に回収された時はなるほどと膝を打ってしまいました。


 ラブストーリーとしてもミステリーとしてもよく出来た作品だと思います。おすすめの一作になりました。

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