50.犬とハサミは使いよう 感想

 第12回えんため大賞小説部門優秀賞受賞作。2013年にはアニメ化もされています。


 なんと、作者の更伊先生は「更」さんと「伊」さんの二人組。


 同じ大学だった二人が卒業後数年して「小説を書こうぜ」となり二人で投稿を始めたのだとか。


 漫画ではシナリオ担当と作画担当で別れてることは割とあると思うんですが、小説で二人組って珍しいですよね。


 どちらかがプロットを書いてもう一人がそれを元に本文を書きおこす……みたいな感じなんでしょうか。ちょっと想像つきませんよね。


◆タイトル『犬とハサミは使いよう』

◆作者 更伊俊介

◆イラスト 鍋島テツヒロ

◆レーベル ファミ通文庫

◆発売日 2011/3/11


◆感想


 ある日突然強盗に殺されてしまった主人公。だが、本バカの「本を読まずに死ねるか!」という執念により現世に帰還――が、その姿はなぜかダックスフンドになっていた!


 そんな主人公の前に現れたのはハサミが凶器のサド女、夏野霧姫。その正体は、主人公が大ファンの作家、秋野忍だった――というお話。


 まさかの犬(に転生した男)が主人公の作品。


 本が好きすぎる犬と、ドS系クールヒロインの霧姫のコンビが、やり取りが微笑ましくて面白いです。


 とにかく軽快な会話が特徴で、結構パロディネタなんかも多くて元ネタがわかる方にはクスリとくるかもしれません。


 このふたりのコンビで主人公を殺した犯人を追うのですが、初め私は推理ものかと思っていたのですが、ミステリー風味ではあるものの、ミステリーと言うよりはドタバタコメディ。


 二人のやりとりや会話を楽しむという感じの作品でした。


 とにかく勢いがすごくて、文のパワーで最後まで読まされてしまいます。


 とにかくギャグの多い作品なのですが、本に対する思い、読者と作者への思いが溢れ出てくる終盤はグッときますし、エピローグの終わり方も爽やかで好み。


 本好きの方は共感するかも? しれない作品!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る