61.世界の終わりの庭で 感想

 カクヨムコンも迫っているので久々の更新です。楽しみにしている方がいたら申し訳ありません。


 さて今回は、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『電波少女と青春男』で有名な入間人間先生の新作です。


 書店で見かけ、気になって買ってみました。作者さんのネームバリューもそうですが、淡い色使いで不思議な感じの表紙も惹かれます。


◆タイトル『世界の終わりの庭で』

◆作者 入間人間

◆イラスト つくぐ

◆レーベル 電撃文庫

◆発売日 2018/09/08


◆感想


 遠い未来、遠い惑星、黄昏を迎えた世界。「私」は人間より人間らしい見た目をした機械。遺跡の発掘物を利用するため、スクラップ工場で働いていた。


 ある日、発掘隊が棺めいた箱を持ち帰えると、中には銀糸のような髪に艶のある肌の少女が。


 彼女の造形を目で追う度、巻き起こる発熱とエラー。非の打ち所のない彼女の姿を前に、「きれい」と口にして、生まれて初めて、私はエラーで動けなくなった。変わり者二人の出会いから語られる、彼方の物語。



 これまでの入間先生の作品のイメージとは違い、崩壊後の世界を描いたSF作品です。


 視点の違う短編が並んでいて、読んでいくうちに段々と意味がわかってくるという感じの作品。


 花の咲く庭園の描写が印象的で美しく、読んでいると表紙のように透明感で繊細な映像が流れていくようでした。


 終末世界が舞台で百合要素のようなものがほのかにあるのも個人的には好み。


 物語は細かい部分がはっきり語られなかったり、時系列がごちゃ混ぜになっているので実は最初に一度読んだだけでは何となくしか物語が掴めませんでした。


 ですが、ラストを読んだあと再度読んでみると、全てのピースがはまり、時を超えた絆や思いのようなものを感じました。


 是非とも何度も読み返してほしい作品です。

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