飲んだら乗るな!
中学生のユウくんが「あー、もう嫌だ。勉強なんて嫌いだ。なりたいものがロッカーだから、こんなに勉強なんかしなくても・・・。」と叫んだ。
(1時間は、「こんなに」にはあてはまらないけど、、、。)
「へえ。岩になりたいのか。」
「はあ?岩なわけないでしょ。歌手だよ、歌手。」
「そんなに根性がなくて、歌手になんかなれるわけないでしょ。勉強の方がよっぽど楽なんだから。」
「そうなの?」
「当たり前。デビューしたらみんながセカオワとか、ワンオクみたいになれると思ってるの?」
黙りこんだ。まずデビューできるのがほんの一握り、その中で売れるのなんて、キセキに等しい。
「歌がうまいなんて人は5万といる。歌がうまいだけじゃ話になりません。高校までは頑張りましょう!さーて、rockには色々な意味があります。岩、揺する、ロックミュージックなどです。」
といったところで今日は岩の話。
見知らぬ男性が巨岩の横に血を流して倒れている。頭部に血だまりができている。その横には真っ赤なタオルが落ちているが、よく見ると所々忘れられたように白い。
(殺人現場か?)
血に染まったタオルに夏の陽が当たり、黒く焼いていくようなじりじり感がある。
遠くからサイレンが聞こえて、近づいてくるに従って野次馬が増えていく。
眩しい、眩しい。
・・・朝だ。また嫌な夢を見た。
これで同じ夢を見たのは3度目だ。顔もわからない男性、私は殺してない。
冴えない顔して起きていくと家族はいぶかしげな顔で私の顔を見てくる。
あまりに気分が悪いから家族に夢の話をした。すると父が
「そりゃ、正夢だよ。」
と言った。
話を聞いてみると、私が3歳の時、親戚と一緒に奥多摩にバーベキューをしにいったそうだ。そこで遊んでいると、男性が巨岩の上でチューハイを飲んでた。そして男性はそのまま寝てしまった。私たちがバーベキューを開始しようとした頃、男性は巨岩から転げ落ちて流血した。発見した叔父が止血に走ったが、私といとこたちは叔父の後ろをついて行ってしまった。そして私はきっとショッキングなそのシーンをじーっと見てしまったのだ。
自分は記憶していなかったが、どこかに記憶として残ってしまったのだろう。
怖いと思った。
飲んだら乗るな!岩にも。
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