彼の女等の一日
しゃがー
彼と彼女の1日目
「俺最近誕生日だったのよ」
「知ってる。ダースあげたじゃん、ダース」
「美味しかったわ」
「それは良かった」
「5月15日なんだけどさ、俺他にもプレゼントもらったんだよ」
「へー誰に?」
「部活の先輩、あと母親から」
「何もらったの?」
「親からはパスケース」
「あんた百均のやつ使ってたからねー」
「バレてたんかい。いや、見かねたみたいでさ…ちゃんとしたやつ買ってくれた」
「ふーん。先輩からは?」
「ギフトブック。何だけどこれがすっごいセンスあんだよ…読みながら爆笑してた」
「何、センスあるギフトブックって…」
「なんでも、渡す相手に合わせてテンプレート文章の空欄を埋めて作るギフトブック…らしい」
「?どゆこと?」
「ちょっと読んでみるわ。えー…『たとえ●●でも恵くんの誕生日にはかけつけるからね』●●になんて書いてあったと思う?」
「そういやあんた、めぐみって名前だったね。忘れてたわ」
「おいバカやめろ当たり前のように流せよメタいだろ」
「ちなみに私の名前は愛菜だから。まなだから」
「2回言った意味を教えて欲しい」
「大事なことは2回言うの」
「大事なことは1回でちゃんと伝えるもんだ…そんなことはいいんだよ、どうでも。なんて書いてあったと思う!」
「ん〜…ごめん、文章忘れた。わんもあぷりーず」
「…いいよもう…答えは、『たとえ"ば君が傷ついてくじけそうになったとき"でも』」
「ブッ」
「もうセンスの塊としか思えなかったわ」
「それはww笑うわww草」
「ここぞとばかりに草を生やすな。現実の言葉に草は生えないんだぞ」
「やっぱうちの先輩はセンスあるね〜」
「そういえば同じ部活だったか俺たち」
「何を今更」
「「ははははは」」
「…そろそろ部活行かないとまずくね」
「ここ部室」
「あ」
「…そもそも今テスト期間だから部活ないのに、話があるって言って呼び出したのあんたでしょ。全く付き合ってあげてる私の身にも…」
「まてまて嘘をつくな、俺はお前を呼び出したりなどしていない。俺を呼び出したのがお前だろ」
「あんたこそ状況描写がないからって調子乗ってんじゃないわよ。じゃあ何、私がわざわざ先生呼んでわざわざ視聴覚室の鍵を開けてわざわざ他クラスのあんたを呼んだって言うの。そんな面倒なことするわけないでしょうが」
「こっちだって状況は同じだ。何で俺がそんな面倒なことせにゃならん」
「あんた生徒会でしょ。視聴覚室くらい簡単に開けられるでしょ」
「バカ言うな、生徒会が勝手に開けられる部屋なんて生徒会室くらいだ。そもそも視聴覚室はカードキーと普通の鍵の二重ロックだろ。1年部活やってりゃ知ってるだろうが」
「二重だから何なの。関係ないしあんたの方が先生と深い関わり持って生活してるでしょ規範生徒」
「模範生徒と呼べ…確かに俺は普段は真面目に過ごしてるけどな、先生との付き合いも浅く広くだ、関わらず関わらせずのラインを常に意識してるからこそ誰とでも仲良くが成り立つんだ。なめんなよ」
「はっ、そんなハリボテチックな立ち回りすぐに崩れるに決まってるわ」
「残念だな、小6の時からすでに俺はクラスのそこそこ目立つ男子の斜め後ろについていたんだ。立場?カースト?そんな言葉知らない時期からもう俺の生き方は決まってるんだ。早5年になる、年季が違うんだよ」
「はぁ?誰が時間を引き合いに出したし。そういうの自意識過剰って言うのわかる?」
「お前こそ俺みたいにしっかりと未来見据えたやつの生き方聞いて焦ってんじゃねえか?」
「だから自意識過剰がすぎるって言ってんの。あんたのは未来見据えてるなんて耳障り良い生き方じゃない。他人の力に縋ってるだけのただの臆病者よ」
「だからその臆病者に徹するのが難しいし、それをこなしてる俺はすげえんだろ」
「バカじゃないの」
「「………あれ?何の話だっけ?」」
彼の女等の一日 しゃがー @shaiga515
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