【妄想if】グリムノーツ・プロメテウスとの決戦後のお話

シュナ

第1話分断の魔女一行


「…今しばらくの辛抱だ、おチビ。その内必ず解放するから」

「…すまない、これも君の為なんだ。」

「お願い…、ここから出して…、ティム… パーンさん…!」


プロメテウスとの決戦後、勝利の余韻などはまるでなく、荒れ果てた学院内で一行はまさに分断の時を迎えようとしていた…

先程の会話は、皮肉屋だが面倒見の良いティム、大柄な中に優しさを内包したパーン。

…そして、二人によって檻の向こう側へと閉じ込めらた、“再編の魔女”エレナだ。


おっと、一行にはもう二人忘れてはならない人物がいる。

ドン・キホーテの遺志を継ぐアリシアに、空白の書にワイルドの模様を持つレヴォルだ。


彼らはプロメテウスとの戦いの後眠ってしまっていたが、ようやく、目が覚める時が近づいて来たようだ。しかしそれは同時に、彼ら一行が築いてきた絆が一気に引き裂かれる、始まりの合図でもあった…


「う… ん…  なっ…!?」

「ちょっと… 何をしているの…、何でエレナちゃんが閉じ込められてるの!」

アリシアがそう問うと二人は

「…よう、お目覚めかい? 王子サマにお嬢サマ。」

「アリシア、君も先ほどの戦いで見ただろう…。 “モリガン”となった彼女を自由にしておくのはあまりに危険すぎる。」

「だから戦いの後おチビが疲弊しきったところをこの檻に入れて、“モリガン”を封じる実験をするんだと」

“モリガン”のところで一瞬ピクッとアリシアの顔がひきつった。

レヴォルも何か訴えたそうだったが、口の達者なアリシアがすぐにそれを遮ってしまった。

「だからってこんなこと…!」

「“モリガン”…? 誰の事を言ってるの? こんなことをする意味がわからない…」

「エレナちゃんが例え“災厄の魔女”でも、いつまでもあの子の味方だって、あのとき誓い合ったでしょ!?」

一見冷静さを欠いてるようだが、人一倍正義感の強いアリシアのこの反応は至極当然と言えよう。


「落ち着けよお嬢サマ。だれもアイツを取って喰おうだなんて思っちゃいない。」

怒りが込み上げてくるアリシアとは反対に、ティムとパーンは平静にこう続ける。

「かつて教団が呪術を駆使して作り上げたという、“怪物”の力を抑制し、捕らえるための檻… それを使えば彼女の“モリガン”の部分を、消失させることは出来なくとも極力小さくすることは出来るかもしれない…」

「それこそ、“モリガン”が再び発現する事のないレベルにまで、ね」

「まぁ、おチビにはもうしばらくの辛抱を… っておい、人の話を聞け!」


閉じ込められている仲間を目の前に、アリシアとレヴォルには人の話を長々と聴いている余裕など皆無だ。

「エレナちゃん!」

「待ってろ、こんな檻すぐに壊してやる…!」

二人はその体を、あるいはそばに転がっていた石などを目一杯使い壊そうとするも檻はびくともしない。

「やめとけ、ソイツはヒーローの力でも簡単に壊れないように出来てるんだ。俺達空白の書の持ち主が何かしたところでどうにでもなるもんじゃねー」

「…そうか、ならば-」

ティムの忠告に聞く耳持たず、まだ何かをしようとポケットの中に手を突っ込むレヴォル。取り出したのは一枚の栞だ。

しかもただの栞ではない。空白のホムンクルスを“調律の巫女”として活動させていた“ワイルドの栞”、レイナ・フィーマンとコネクト出来る栞だ。

「ーレイナ・フィーマン、僕に力を。」












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