プロローグ(ver3.0)
前略、灰色青春探偵様。
時の流れは速いものでして、高校三年に上がる前には校内で『灰色青春探偵』と呼ばれるようになった月定邦雄さんは毎日をどう過ごしているのでしょうか?
面倒事ばかりを押しつけられた末、最後は押しつけていた相手に嫌われるという事を繰り返しているうちに、学年内、いえ、中等部高等部中で厭われるようになったのは、不覚にも笑ってしまいました。
探偵として名を上げていた紅雀楓さんとは対照的に、探偵としては失態を続け、灰色の青春を送っている役立たずの探偵と後ろ指を指されている姿は、今もこの目に焼き付いています。
そんな状況になってもまだ探偵を続けているのでしょうか?
探偵としての才能がないのは分かっているのに、探偵を強いられていた月定邦雄さんは孤立無援の戦いを強要され、精神をすり減らしていましたよね?
それなのにまだ続けているのでしょうか?
もし続けているのでしたら、阿呆としか言いようがありません。
速攻で探偵などという不名誉な称号を投げ捨て、私の胸に飛び込んできてはどうでしょうか?
私の胸はお兄さんのためだけに用意されています。
お兄さんを必要としていない学校などとっと去って、私が行くこととなった学校に転校すればいいのではないでしょうか?
いえ、私のところに来るべきです。
でも、その願いは女子校なので不可能ですよね?
とても悲しいです。
あんな事件があったため、女子校に転入されられてしまった私はお兄さん不足のせいでとても精神的に不安定になっています。
なので、遊びに来てくれてもいいんですよ?
いえ、是非遊びに来てください。
寂しさのあまり支離滅裂な文面になってしまいましたが、ご容赦ください。
お兄さんも寂しい思いをしているかもしれないかと思って、こちらの学校の制服に身を包んだ私の写真を送りします。
何なりとご利用ください。
あなたの八丁堀姫子より
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