第16話「強者を集める」

 ここは宇和島城下町にある彦右衛門の家。


 そこでたけぞうと三郎は彦右衛門に事の次第を話していた。

「それで拙者のところへ来たのか。しかし殿のお許しが出るかどうか」

 彦右衛門がそう言うと、

「それはご心配なく。遠江守様には上様からの書状が届いているはずなので、後はあなた次第です」

 三郎は将軍にもこの事は伝えてあった。


「そうか、ならば拙者も力を貸そう。不謹慎だがかの十勇士、そして日ノ本一の兵と戦うというのは血が騒ぐものだ」

「ありがたい。よろしくお願いします」

 三郎は頭を下げて礼を言った。


「おれも彦右衛門さんと一緒に戦えるってのが嬉しいよ、よろしくね」

「ああ、たけぞう」




 そして彦右衛門は主君に旅立ちの報告をしに行った。

「武運を祈るぞ。お主の妻と息子は私が責任を持って面倒見る。だから安心してくれ」

 藩主伊達遠江守はそう言った。

「殿、ありがとうございます。では行ってまいります」

 こうしてたけぞう、三郎、彦右衛門は宇和島から旅立っていった。




「さて、これからどうするのだ? 敵の居場所はわかってるのか?」

 彦右衛門は三郎に尋ねた。

「おおよそは。ですがまだ攻め込むには戦力が足りません。相手が最強の十一人ですから、こちらもあと八人はいないと」

「しかしもうアテはないのであろう?」

「はい。部下達に目ぼしい者を探させてはいますが、なかなか」

 そう言って三郎は項垂れた。

「あのさ、だったら法眼様のところへ行ってみない?」

 たけぞうが二人に言った。

「法眼様? 誰だそれは?」

 彦右衛門が問い返した。

「おれの剣の師匠だよ。鬼一法眼って言えばわかる?」

「おい、その方は数百年前の方だぞ?」

「実は大天狗なんだって。おれも後で知ったんだ」


「たけぞう殿、もしかして法眼様にも共に戦ってもらおうと?」

 三郎がたけぞうに尋ねた。

「ううん、たぶん法眼様は直接戦わない。でもどっかに強者がいるのを知ってそうだから聞きに行こうよ」

「わかりました。では鞍馬山ですね」

「うん、そう」

 たけぞう達は京の鞍馬山へと向かった。




 そして大天狗鬼一法眼に会って事情を話した。

 すると

「ふむ、強者か。それならちょうどここに一人いるぞ」

 法眼はそう言った。

「え、まさか法眼様自らが?」

 たけぞうが聞くと

「いや、そうではない。数ヶ月前にここへ来た者がいるのだが、そやつはかなりの強者だ。この者ならお主等と共に戦えるであろう。ちょっと待っとれ。呼んで来る」

 そう言って法眼は奥の部屋へと消えた。


「いったいどんな人だろ?」

「その方って人間なのでしょうか?」

「さあな、お、戻って来られたぞ……え?」


 法眼と共に来たのは金色の短い髪で、白銀の西洋風の鎧を身に纏っている女性だった。


「さ、皆に挨拶を」

 法眼が女性に促した。


「はい、私の名前はジャンヌ・ダルクと申します」

 その女性、ジャンヌ・ダルクはそう言った。

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