血反吐
白神九或
持ってはいけない疑問
私、三木かな子。絶賛死にたい女子高生である。
私はごく普通の高校に通ってて身だしなみには気をつかってるけど、特に見た目で褒められるということはないし、頭も普通くらいだし、帰宅部で部活もしてない。いじめられてもない。あこがれの俳優さんやアイドルもいなけりゃ、なりたい職業もない。何にも、ない。
ただ毎日一週間をぐるぐるグルグルぼーっと過ごしていた。
そんな時、ふと思った。「あ、死にたい」って。
そのことが頭から離れなくなってしまった。嫌なことも辛いことも悲しいこともない。なのに死にたい。死ぬのは怖いことだって知ってる。おばあちゃんが死んじゃった時、骸となったおばあちゃんを焼くにおいが、音が、炎が、記憶が焼き付いてる。
死にたいって思ってから死ぬって何だろうと考えるようになった。自分でもそんなこと真剣に考えてるなんてバカらしくて笑ってしまう。それでも、何だかよく分からないふわふわした疑問を考えるのをやめられなかった。倫理の授業もネットの宗教ホームページも何だかしっくりこなくていろいろ考えた。ずっと、考えた。
答えはある時、急に出た。
「死」とは"何も持たないこと"。
それが編み出した答えだった。妙にしっくりきて、その途端、私は絶望してしまった。"死へ疑問"さえもとうとう無くしてしまった。もともと何も持たなかった私はとうとうその疑問すら無くしてしまった。私は、本当の意味で死んでしまったのだ。
What will a man die when she loses something?
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