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「そうしたらさらに分からなくなったんです」
「分からなくなった?」
「恋愛って何なのかなぁって」
「恋愛、ですか」
「はい。歴代の彼女たちにも愛情が無かったわけじゃないんですよ。大切にしようって、優しくしようって思っていて、喜んでもらうのも嬉しいし、頑張ってはみるんですけれど」
そこまで言って視線を外してため息を吐く。
「最後はいつも、愛を感じられないと言われて振られるんです。大切にしてきたつもりなのに。だから、恋愛って良く分からなくなってしまったんです。いや、最初からよく分かっていなかったのかもしれませんけれど」
自虐的に小さく笑うと溶けた氷を混ぜてグラスを仰ぐ。
彼が振られる理由、それは多分優しすぎること。それから大きすぎる期待をされていることだろう。恋愛は盲目、何て言うけれど見えていないのは周りだけじゃなくて、意外と相手のこともだったりするものだから。
「恋愛に答えはきっとないでしょうから」
「マスターにも分かりませんか?」
「人類で分かっている人の方が少ないのでは? でも答え合わせはきっと誰にもできないから」
恋愛ってきっとそう言うものだから。
「いつか僕にも誰かを本気で愛せる時がくるでしょうか」
「来ますとも。今はまだその時が訪れていないだけです。いつか、きっとその時が来れば」
身悶える恋をする時が来るはずだから。
「きっと驚きますよ、恋の苦しさに」
「もう十分苦しい思いをしてきましたけれど」
「全然違いますよ。あぁこれが本当の恋なんだって分かると思いますから」
「ってことはマスター、やっぱり経験があるんですね?」
さぁ、それはどうでしょうね?
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