第52話 エピローグ
エルフの里に向かう。
横にはラックル。
腕を組んで、嬉しそうに横を歩いている。
事後処理も終わり。
全ての奴隷は解放され。
人間の支配も終わりを告げた。
紋章獣や紋章機ももう動かない。
・・・もっとも、人間の王国は主力が何故かほとんど失踪しており、深刻な弱体化をしていたのだけど。
エルフ族、猫人族、狼人族、羊人族・・・だけではなく、他の類人族からも、ハーレムへの参加希望が集まっているらしい。
イファナに記憶水晶で見せて貰ったが、みんな可愛かった。
人間もいる。
奴隷身分になっていた人達だ。
英雄。
それが俺らしい。
「うーん・・・」
でも、俺、よく考えるとあまり何もしてない気がするんだよな。
なんか流されていただけというか。
「どうしたの、リョータ?」
ラックルが顔を覗き込んでくる。
「いや・・・本当に王女に会って・・・それで俺の想いを受け入れてくれるのか・・・」
「・・・当然でしょ?!」
ラックルががっしりと肩を掴んでくる。
「・・・やっぱり駄目だ、もっと色々な偉業を積むべきだ」
うん、そうだ。
「いや、あり得ないから!これ以上の偉業とかあり得ないから!」
ラックルが何故か涙目で俺をぐらぐら揺する。
「というか、もう言うよ!僕がリーンだよ!ほら、大丈夫だったでしょ!僕は・・・リーンは、リョータが好きなんだよ!」
ラックルが叫んでいるが・・・頭に入ってこない。
今は、考えるのに集中したい。
実は、ラックルの話を聞き流す事は良くある。
何というか、音楽的・・・?な美しさが有り、聞いていると思考が捗るのだ。
本人には内緒だけど。
「ねえ、僕がリーンだってば。顔も髪も声も一緒だし・・・最近は女性の服も着てるし・・・ねえ、分かるでしょ?!分かるよね!」
ラックルがぐらぐら揺らしてくる。
「ラックル」
俺がラックルに話しかける。
「うん?」
ラックルがきょとん、と首を傾げる。
「別の大陸に行ってみようと思う。そうすれば、もっと別の偉業をたてられる気がする」
ラックルが俺の肩を再度揺らす。
「だから、もう偉業は良いんだってば!もう王国もどうでも良いよ!キミのハーレムに入るから。もう体を求められたら何時でもとか、街の中でとか、何でも良いから!御願いだから!」
ラックルが俺をがくがく揺らす。
そうだな・・・うん・・・船・・・羊に?
飛んでいった方が早いのだろうか?
「もう・・・明日は絶対ドレス着てきてやるからあああああ!」
なんで別大陸に渡ると言ってるのに、ドレスなんて着てくるのかね。
この子は。
何故か泣きじゃくるラックルをあやすように、そっと抱きしめてやる。
チートスキルは貰ったのに、案内人は美少女ではなく、異常にモテる顔でもなく。
奴隷を買ったら逃げられるし、そもそも奴隷制度がなくなってしまった。
でもまあ、運命の人にも出会え、偉業のお陰で寄ってくる女性も出てきて。
案内人も、ラックルに会えて良かったと思っている。
・・・これでラックルが女性ならなあ、とは思うけど。
まだ先は見えないけど・・・それでも、きっと将来は・・・ハーレムを作れるはず。
ささやかな、だけど。
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お付き合い下さり有り難うございました。
ふと思いついて書き始めて・・・本当はもっと短い話となる筈でしたが、
予定より長くなりました。
羊や山羊など、当初予定していなかった要素も途中で追加されましたし。
本編は此処で終わりですが、終了時のステータスを次話として投稿します。
よろしければそちらもご覧下さい。
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