クラスまとめて異世界転移したんだけどオレ以外チートってマジすか!?

@zeke124

プロローグ

ここは、大迷宮の47階層。基本的に大迷宮と呼ばれる場所は300階から成るらしいのでゴールまでは程遠い


(でも、この世界に来て2日、なおかつ一般人レベルではよくやった方だよな)


2日前まで普通の高校に通うただの一般市民であった竜華一姫はそう思った。だが当然彼一人で突破してきたのではない、むしろ彼一人では20階層あたりで死んでいただろう



この世界でも一般人であったイツキが2日で47階層まで来れた理由はひとえに彼の数歩分前を行き、大迷宮には相応しくない鼻歌を歌いながら歩く黒髪の小柄な少女アルナ・ミラティルナのおかげである


「なぁ、アル。こんな順調でいいものかな? オレはもっと危険溢れる地獄のような場所を想像してたんだけど」


イツキは自身の前を歩くアルナにそう聞いた


「イツキ、まだ47階層、このくらいなら王国の兵士たった一人でも来れる。最下層まではまだまだある、スピード上げてさっさと攻略する?」


「いや、ゆったりでもいいだろ、勇者組とは違ってオレには時間に余裕があるからな」


「それは遠回しの自虐? そう言うの良くない」


彼が2日前に違う世界からやってきた勇者の仲間と言うのは知っているし彼が勇者の仲間の中で1番弱いのも知っている、出会った直後に彼がそれを説明してくれたからだ


「そう聞こえるか? オレにはそんな気は無いんだがなぁ まぁいいパパっとやって50階層あたりで飯にでもしよーぜ」


イツキは話題を逸らし、歩を進めた、自分がこの理不尽な異世界転移をしてしまったあの日のことを思い出しながら




────────────────────




金曜日って最高だ! そんな事を考えながら竜華一姫は教室のドアを開けた、金曜日は1週間を乗り越えた素晴らしい日、なればこそ、いつもなら受け流すであろう飯田大吾の理不尽な文句にも真摯に応えようと思えるのだから!


「よぉ竜華くぅ〜ん? テメェがいるとクラス全体の雰囲気悪くなるから帰れよ」


そう言ってニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべるのは飯田大吾(イイダ ダイゴ) 一姫をいじることを生きがいとする典型的ないじめっ子である


「やぁ、飯田くん、オレもさっさと帰りたいんだけどね、オレが帰れば君は来週の月曜日になんで来なかったーって怒るだろう? だから学校に来て君の妄想話を聞いた方が案外精神的に楽だと思うんだ」


ニコッと微笑み、一姫が自分の席に着いた瞬間に鐘が鳴る


「はーい、席に着いてください! 出席を取ります!」


担任の森川先生が周りの喧騒に負けない大声でそう言った



その後は午前の授業を乗り越え、午後の授業を受ければ帰宅だ。とまぁ、その前に昼食の時間である



一姫が弁当箱を取り出すと背後から声が聞こえてきた


「竜華君! 一緒にお昼食べよ!」


喧しいのが来たな、と一姫は思った。彼の背後から話しかけてきたのは学校でも女神と評されるほどの美貌を持つおっとり系少女、神崎碧である。



一姫は彼女が苦手だった、急に話しかけてきてまるで自分と話してるのが至福の時間とでもいうように常にニコニコ微笑んでいるのだ。そしてその中に彼女の友人である時枝咲楽が当たり前のように入ってくる



そして極めつけにはクラスの人気者、完璧超人の東雲光輝がこれまた自然に会話に入ってきてクラス中から注目される謎のグループが完成するのだ


(だが、今回はそうはいかないぞ。既に弁当箱は閉じた、全力で違う教室まで逃げ切ってやる)


そのような決意を抱き、走り出そうとした瞬間に、突然教室の床に魔法陣が浮かび上がった


「何、これ!?」


「嘘…だろ?」


そう呟いたのは光輝と咲楽であった。


「冗談キツイぜ畜生!」


一姫は全力で逃げようとしたが光に包まれ、その世界からクラスメイト共々消えてしてしまった



この騒動はのちに色々と話題になるのだが、まぁ置いておこう

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