006. 肌を押して

わたしはあなたの手を待つ


わたしに触れて

帰る場所はここだったよと笑って


行く道行く道にわたしの愛が転がって

あなたの行く手を阻んでしまえたらいいのに


それでいいといってよ

良いと感じてよ

わたしに支配される人生が

好きだといってよ


暗く陰るその瞳も沈黙している唇も

生み出す力を秘めた指も

わたしに触れて感じるためだけに

作られた唯一の本物


人生に自由がないなら

あなたと一緒に不自由したいと

何度願ったことか


清潔な世界にいるくせに

わたしをブランケットでくるんで

童話のような音を聞かせてくれたあと

荒々しく抱きしめてくれた


その手がわたしの皮膚を押して

グッと力が入る瞬間

細胞が跳ねて充血したんだ

あなたを求める血で満たされたんだ

わたしと言う容器を壊さんばかりに

目まぐるしく内臓が跳ねる


あなたが本物であればあるほど

偽物を紡ぐ日々

苦しむわたしを見て

良いと感じてよ

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