003. 雲の裏へ

ガタンゴトンと揺られながら

むかし君に教えてもらった曲を聞こう


大きい窓ガラスの奥の奥の奥

そのまた上の奥

あの雲の裏にも届くような高揚感


窓ガラスを蹴り破って

自分の硬くなった殻を脱ぎ捨てて

血が出るなんて御構い無しに

空を切って

泣き叫びたい


涙が風でわたしの頬を離れ

何もない空間に舞って

君の上に降り注げばいい

それでも君は絶対に気づかない

わたしの存在やわたしの涙に気づかない

お天気雨だなんて言って傘を探す


そう思っていればいい

一生君はそう生きればいい


わたしは君に教えてもらった音で

空を飛ぶ

上昇気流に乗って

誰よりも近い雲の裏へ


音が止まってしまったときのことは

また後で考えるわ

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