第2話 孤独の生い立ち

 生まれた時からみんなと違っていた。僕の髪は灰色だけど、この国にすむ人々の色は異なっているのだ。行き交う人を数えてみても、ほとんどは真っ白な色の髪をしている。たまに違う色の人がいても、その人たちは奴隷だったりする。

 この国サントニアでは、白色の髪をもつ者しか正当な民として認められない。僕は異民族との混血ならしい。「穢れた髪」「薄汚れたバルバロス」「光の民の面汚し」そういった言葉が当たり前に囁かれ、蔑まれる立場に僕はあった。そんな僕にとって、何よりも大切なのは母親の存在だった。母はどんなことがあっても僕を見捨てず、見た目をばかにされて落ち込んでいる時にはいつもこう言ってくれた。

「大切なのは見た目じゃないわ。あなたがどれだけ人に優しくできるかが大事なのよ」

 でも僕は憎かった。この世界が、僕を見下す人々が。

 そんな母親も病気で死に、文字通り孤立無縁となった僕には、もうこの地にしがみつく理由も、生き続ける理由も感じられなくなっていた。

――出よう、この国を

 必要な限りの荷物と、護身用の槍を身につけ、憎き白の国、サントニアをあとにした。


 

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