導きの剣。「ナコカ。」×「トボカ。」

ゲーセン店員 ヤツカ。

第1話 誰もが、最後には還る場所。

「その時」だった…。


「熱い…。」


焼け爛れた、右腕が、疼く…。


ナジムは、涙を堪えたまま、徐に僕の肩に手を添えた。

まるで、心の内を推し量るように…。


間違いない…。「此処」だ…。

「リング」は、遂に「時の結節点」を示していた…。


「切っ先」を、翳してみる…。


……。


ナコカは、いつもみたいに泣いていた。


トボカは、押し黙り、俯いていた。


「光と闇の和合する回廊」への到達は、旅の終着を意味していたから…。


ナコカ…。トボカ…。…ごめん。

でもね…。だからこそ僕は踏み出すよ…。


多くの友を失った。


それ以上に多くの「敵」の血を浴びた。


それでも、僕が、前に進めたのは、ナコカの笑顔が見たかったから。


トボカに褒めて欲しかったから。


今ならわかる。


少し先の未来。僕が、年老いて、

剣を置き、歩みを止めたとしても、

二人が僕にくれた「言葉」は、その意味や、形を変えたりはしないという事。


そうして、「先駆者の光」は、受け継がれていくんだ…。新たな運び手を求めながら…。


失った様で、得たもの。

得た様で、失ったもの。


ナコカ…、トボカ…。

今、二人に逢えたなら、僕はもっと率直でいられるだろう…。

尊重だって、出来たかも知れない…。


それじゃ、まるで、「僕ら」じゃないけれど…。


「ランド・イーター」が、砂漠を駆けること。

「グレイズ・ブレイズ」が、循環を継続する理由。


そんな「当然」を知るには、人の一生は短すぎて…。

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